中国景気刺激策終了で対中輸出が減少
中国の場合も、日本への影響は、中国への輸出が減少することを通じて生じるだろう。実は、これはすでに生じていることだ。これについて以下に述べよう。
リーマンショック後、米国への輸出が激減した反面で、中国に対する輸出は顕著に増加した。これは、中国政府が、08年11月にGDPの16%に相当する4兆元(約57兆円)という空前規模の景気刺激策を取った結果、公共事業、住宅建設、都市開発事業などが爆発的に増加したからだ。そして対中輸出の増加が、日本経済がリーマンショックから立ち直るうえで重要な役割を果たした。
ところが、12年6月頃から中国への輸出は停滞し、減少した。12年11月頃から円安が進行したが、それにもかかわらず輸出数量は減少を続けたのである。
以上の状況を見るには、ドル建て輸出の推移を見るのがよい。為替レート変動の影響が除かれるからだ。05年以降の推移は、図に示すとおりである。
日本のドル建て輸出総額は、リーマンショック後に大きく落ち込んだが、その後回復し、11年にはリーマンショック前のピークをやや上回る水準にまでなった。こうなったのは中国に対する輸出が急増したからだ。05年には対中輸出は対米輸出の約60.0%しかなかったが、リーマンショック後に逆転し、11年には対米輸出より28.5%ほど多くなった。
ところが輸出総額は12年には減少した。12年は、11年の大震災からの回復の年だった。また、12年の11月以降は円安が進んだ。それにもかかわらず輸出総額が減少したのは、対中輸出が対前年比で10.4%ほど減少したからだ。対米輸出は増加を続けているので、12年には対米輸出と対中輸出がほぼ同額になった。
建設用・鉱山用機械について見ると、10年は18.3億ドルだったが、12年には7.3億ドルと、4割の水準にまで減少した。大規模景気刺激策が一過性のもので、それが終了したことを示している。
以上で見た状態は、最近にいたるまで続いている。すなわち、13年7月の対中輸出額は11.2兆円であり、前年同月比で12.0%の減となっている。円安にもかかわらず、ドル建て輸出額がこのように大きく落ち込んでいることが深刻である。
これが10~11年頃の水準に戻るのは期待しにくい。これだけでも日本経済にとっては痛手だ。将来これがさらに減少するとすれば、日本経済にとってさらに大きな痛手だ。
中国の経済成長率が減速していることから、中国政府が再び大型の景気刺激策を取るだろうとの見方もある。しかし、前回の刺激策が住宅価格バブルや不良債権問題を引き起こしたことを考えると、再び同規模の刺激策を取るのは難しいのではないだろうか。
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