中国のジョブズ、北京小米CEO雷軍氏の素顔 広告費ゼロでも700万台販売!スマホの新勝ち組の秘密

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しかし小米は違った。雷軍氏はスペックで譲歩せず、すべての部品をiPhone並みにしながら低価格で売ろうとした。この戦略に対し、これでは粗利率が損なわれるのではないかと疑う声が上がった。

今年4月、雷軍氏は昨年の営業収入126億5000万元(約2024億円)という業績を上げ、この疑念を粉砕した。雷軍氏はそれ以上の利益データを公表していないが、小米の納税額19億元(約300億円)から考えて、驚異的な利益を上げているはずだ。

同スペックでも材料に差、ハード設計と生産は外注

しかし、雷軍氏は満足しなかった。小米は今年さらに成長を続け、上半期営業収入は132億7000万元(約2123億円)と、昨年1年をはるかに上回った。雷軍氏は「2年後、営業収入1000億(1兆6000億円)の大台を狙う」と豪語する。これが現実になれば、小米は5年でゼロから1000億元という奇跡を成し遂げることになる。

小米と提携経験のある部品業者は、「小米はアップルのスペックとまったく同じだと標榜しているが、両社が使っている材料には差がある」と明かす。例えば、7月に出した「紅米」機は4.7インチ画面、クアッドコア・プロセッサというハイスペックにもかかわらず、800元(約1万2800円)以下という破壊的な価格だ。しかしサプライヤー側は、「パネルのサイズやカメラの画素数は同じでも、部品にはAランクとBランクの差がある。これが安くできる秘密だ」と指摘する。

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