健康食品を信じ込んでいる人の大いなる誤解 青汁・酵素・グルコサミン…危害情報も急増

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あなたが今、正しいと信じている常識はほとんど間違っているかもしれない(写真:taka / PIXTA)

たとえば、関節痛などの軽減効果をうたい、根強い人気のグルコサミン。同成分には2種類ある。このうちグルコサミン塩酸塩については「データが不十分」(NMCD)。グルコサミン硫酸塩は、「重篤で慢性的な骨関節炎の痛み緩和には効果がないことが示唆されている」(健康・栄養研)という。特集では約40種類の成分・素材を掲載しているが、コラーゲンや水素水、黒酢なども、データが十分でないようだ。

実際に、健康食品の効果を明確に感じている人は利用者全体の1割程度にすぎない(インテージ調べ)。効果を感じたという人についても、「ほとんどの場合は、(効くと信じて摂取することによって得られる)プラセボ効果だろう」(東京都医師会の尾﨑治夫会長)という指摘がある。

それどころか、危害情報が相次ぐ健康食品もある。

青汁で下痢やじんましんなどの事故情報も

消費者庁のデータバンクによると、便秘やダイエットによいとされる青汁は、下痢やじんましんなどの事故情報が2015年から3年間で300件以上報告されている。同庁消費者安全課の藤田佳代企画官は、「青汁の事故情報は注視しているが、何が原因か不明なため、現時点ではどのように注意喚起してよいかわからない」と頭を悩ませる。青汁の中には数十種類の原材料や成分を含む商品があり、「成分同士が相互作用して体調不良を引き起こす可能性もある」(尾﨑氏)。

同じく多くの成分を含み、ダイエットや老化防止に効くとうたわれている酵素も、下痢などの危害情報が2015年度に190件あり、2016年度は534件に倍増した(国民生活センター調べ)。健康食品を摂取することで健康を害してしまっては元も子もない。

こうした被害から身を守るためには、広告や表示の情報を見極めるリテラシーの向上が欠かせない。そもそも健康の大前提は規則正しい食生活と運動、そして睡眠の3要素であり、健康食品だけで健康になろうと考えるのは大間違いだ。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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