ソニーの開発責任者が語る新生アイボの未来 家電製品との連携は?海外展開は?

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――今後、aiboのAIが進化していく可能性は?

aiboを利用するにはaiboベーシックプラン(3年間一括払いの場合9万円、月払いの場合2980円)の契約が必要になりますが、この料金にはクラウドとつながるためのデータ通信料金だけでなく、ファームウェア、あるいはクラウド側に集約されているAIのアップデート、基本モーションの追加などが含まれています。

――可動部が多いこともあって経年変化による修理ニーズへの対応は欠かせません。修理代はどの程度になるのでしょうか。

ケースバイケースで一概には言えませんが、バッテリーの交換などは2万円以下、外装の交換、部品交換を伴わない修理の場合は2万円前後、駆動部(足交換など)や基板の交換等が伴う場合は、部位や交換する部品の数によって2万5000~10万円になります。高価になる場合もあるため、aiboケアサポートというプランを用意しました(3年間一括で5万4000円、1年間の場合は2万円)。プランに加入していただくことで、修理代と健康診断(メーカーによる点検)費用が半額になります。

修理に関しては、以前のAIBOでは外装をまるごと交換したときに“傷がないから、うちの子じゃない”といった声もありました。ついた傷も含めて思い出というお客様もいらっしゃいますので、外装を可能なかぎり残すといった修理オプションなども用意しようと考えています。

AIスピーカーと同じことをやらせても意味がない

「事業・サービスの継続を見据えたうえでaiboを設計している」と言う松井直哉氏(筆者撮影)

――発表会ではaiboを基本としながらIoTとの連携を広げたり、aiboで動作するアプリケーションやモーションを開発者向けに開放したいという話がありました。

たとえばソニーの家電製品との連携だけならば、やろうと思えばすぐにできるでしょう。AIスピーカーと同じことをaiboにやらせても意味はないと思っていますが、すでに外部から話をもらっている部分もあるので、いずれお話できるようになるでしょう。

一方、モーションデザインのツールは提供する予定です。開発者がモーションをaiboストアの中で販売といったことができる仕組みを提供します。

――最後にグローバル展開について聞きます。海外からのニーズや具体的な展開計画はありますか。

すでに各国から要望をいただいていて、販売計画を進めているところです。しかし、コンシューマ向けロボットに関しては、国ごとに受容性が異なる面もあるため、一気にグローバルに広げるのではなく、各国市場の環境を評価したうえで順次進めていく予定です。

【インタビューを終えて】
コンシューマ向けロボットは、極めて難しい製品だ。インタビュー中でも言及したが、これだけ複雑なメカニズムの製品を販売し、長期的にメンテナンスしながら運用するとなれば、自動車やオートバイ、一眼レフカメラと同じように、定期的なメンテナンスや修理などの態勢が求められる。
松井氏によると先代AIBOで一通りの経験をして、事業・サービスの継続を見据えたうえで商品の枠組みを設計しているとのこと。今後、改良型aiboが登場するとしても、基本骨格やアクチュエータ仕様は変えず、同じソフトウエア、モーションなどを活用できるようにするという。
単なるエンターテインメント製品としてだけでなく、見守り、ウェルネスといったジャンルでの応用も、現在のクラウド集約型のシステムであれば、容易に幅を広げていけるだろう。まずは1月11日の発売開始、その後のユーザーコミュニティ、販売状況を見守りたい。
本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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