2013年~2017年卒までの5年間で、就職・採用活動開始時期は3度も変更されましたが、2018年卒以降は前年踏襲が続いており、2019年卒は「3月広報活動解禁、6月選考活動解禁」の3年目になります。先輩たちの前例もあり、求人倍率も高いので、“かつてない短期決戦”と盛んに言われた1年前に比べると、学生の就活に対する意識はやや緩みがちです。が、このスケジュールを額面通りに受け取っていると、実態とはずれてしまいます。注意すべき理由は2つあります。
1つは、書類選考や適性検査も、広義の広報活動に含まれる点です。3月の応募受付解禁と同時に、これらも受付が始まります。
以前の就活は、①新聞やネットで見たり、人から聞いたりして、興味を持った企業にプレエントリーし、②実際に企業説明会に行って話を聞いて理解を深め、③抱いていた企業イメージとの違いなども検討したうえで、応募するかどうか決めてから、④エントリーシート(応募書類)を提出するという流れでした。
ちなみにプレエントリーとは、昔の資料請求に当たるもので、最近はほとんどWEB上で行われます。WEB上で登録をして興味があるという意志表示をすると、企業側から追加の情報が適宜送られてくるのです。
書類選考や適性検査は3月解禁
ところが今は、①プレエントリー、②企業説明会、③応募企業決定、④エントリーシート提出は、いずれもほぼ同時。あらかじめ企業を選ぶ判断基準や優先順位を確立しておかないと、いざ3月に解禁になって、企業研究をする時間はありませんし、どの企業説明会に行こうかと考えているうち、人気企業の説明会は締め切りになることもあります。
エントリーシートを提出しようにも、どんな企業なのかわからないままでは、志望動機が書けません。まるで知らない相手にラブレターを書くようなもの。しかし、企業説明会で理解を深める前に、エントリーシートを書かなくてはならない……。この矛盾が苦しいという声は、学生からしばしば聞かれます。
もう1つは、こうした採用活動の解禁日に関する取り決めは、政府の要請に沿って経団連が指針として示したもので、法律ではないということです。最終的には、各社が各自の採用スケジュールで動くことを、踏まえておく必要があります。
こうしたスケジュールを前提に、今の就活で保護者の方にぜひ頭にとどめていただきたいことは、次の2つです。
1つは、就職先が保護者の時代とは、大きく変わっていることです。保護者世代の就職は、メーカー、商社、金融が人気の時代。従業員規模の小さい企業やサービス業を否定的に見ている方が少なくありません。実際、20数年前までは大卒者のうち製造業に就職している人が一番多かったのですが、現在は違います。
大卒者全体の割合で言うと、製造業に就職する大卒者は、1990年が27.9%だったのに対し、2017年は11.6%。製造業が圧倒的に減り、その分、サービス業の比率は倍増しています。
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