ところが、最近は状況が違います。退職するときには名刺は会社に残していくもの、持ち出してはいけない……と考える会社が増えてきました。社員が交換して集めた名刺の持ち主が、個人から会社に変化しつつあるのです。ちなみにビジネスパーソンが1カ月に交換する名刺の枚数は平均15.9枚。入社から数年たつと、それなりの枚数になっていることが想像されます。
さて、みなさんの会社では社員が交換した名刺は誰のものと考えられていますか? 最近は「(その会社の人の名刺を持っているなら)早く言ってよ」と叫ぶ上司のCMで有名になったSansan社などの出現で、名刺は社内資産であり、共有されるべきものという認識が高まりつつあるかもしれません。
実際、辞める前から会社で名刺を共有できるようにすることをルール化する会社が増え始めました。ただ、増えたといっても全体で1割を超えたくらい。名刺管理ツールを提供する会社に話を聞いても、導入は徐々に増えつつある状況とのこと。これからが名刺管理が加速するタイミングかもしれません。
世代によって考え方に差が
ちなみに名刺管理により自分の名刺情報は社内で共有されることに関して、抵抗する勢力もいるようです。
取材した専門商社勤務のSさん(45歳)は名刺管理に大反対。人脈とは個人が作りあげるもので、それを周囲が知っても自分にプラスは何もない……と考えているようです。Sさんの同世代で同様に反対する声は多く、そのため名刺管理は社内で導入が先送りになっているようです。
一方、同じ会社でも20代の社員たちはSさんの反対が不思議に感じられて仕方ない様子。「名刺情報を共有することで、ビジネスのチャンスは広がる」と考えているので管理部門に名刺管理の導入をお願いしているとのこと。同世代の大半が同じ意見らしいといいます。
この世代による考え方の違いはどこから生まれるのか。SNSの活用状況が大きな境目になっているかもしれません。各自の人間関係が特定の人には開示された状態。これがSNSでは当たり前です。この世界観に慣れている、慣れていないが名刺管理の賛成、反対を分けているかもしれません。
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