テレビCMで顕在化した「名刺は誰のもの」問題 世代によって考え方に差も

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日常での名刺の共有にもまして、意見が分かれるのが、先ほどお話しした筆者のケースのように、退職したときの名刺の帰属です。あなたは会社を辞めたときに自分が集めてきた名刺をどのように扱うことが求められそうですか? 会社の方針によるところになりますが、名刺の帰属に関しては個人に属するという見解と、企業に属するという見解がそれぞれにあります。

社員が個別に手に入れた名刺は、所有権と情報とで、分けて考える必要があるでしょう。そして、紙の名刺そのものは、個人の持ち物と考えることができます。ただ、名刺に印刷された情報は機密性があるので、会社に帰属するとも考えられます。こうしたことから、会社によって名刺の帰属の考え方はまちまちなのが実情です。

仕事で獲得した名刺を転職時にどのように扱うかと聞いた調査では、「個人が持ち出す」という回答が38.5%、「全て会社に置いていく」という回答が38.8%となり、ほぼ同じ割合でした。

実際、社員の認識にずれがある場合があります。これまでは辞めたときに名刺は残さなくてよかった会社がルール変更した結果、退職する社員とトラブルになったケースを周囲で何度も聞きました。これまで名刺を個人のものと認識していた会社では、その認識を改めるためには、それなりの時間と手間をかけて伝え、ルールを発信していく必要があります。

会社の資産と考える傾向が増えている

ただ、全体的な傾向として、社員が仕事で受け取った名刺は、社員個人が管理していても会社の資産と考え、退職するときには全て返却を求める会社が増えてきました。確かに当人が辞めれば、誰だかわからない人の名刺が残るだけとなる場合もあるでしょう。それでも、会社は名刺を資産と考え、管理する方向に進んでいくでしょう。

名刺を資産と考えると、社員の業務管理上メリットがあり、ビジネス上の機会損失を減少させる可能性もあります。たとえば、突然退職した社員が出ても、名刺の管理ができていれば、社外の誰と仕事をしていたのかは把握しやすいはず。

こう考えると、名刺は会社に属するものと考えるのが基本的になっていくことでしょう。先述したように抵抗する人も少なくないテーマではあるので、会社には慎重にすすめていただきたいと願います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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