大人が遊ぶ「荒木町」を彩る女性たちの正体 スナック「ゆず」にはまた帰りたくなる

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大正ロマンから昭和風情まで。幅広い顔を持つ「お食事とカラオケの店 ゆず」を、スナ女・五十嵐が評価してみたい。

荒木町でもひときわにぎやかな通りにゆずはある(筆者撮影)

まずは、「入店スリル度」。今回、路面口は開放されていたが、2階へと続く階段には驚かされた。ただ、取材中も一見さんが多数来店していることから、初心者や女性でも入店しやすいのだろう。その気軽さからスリル度は30点といったところか。

誰でも分け隔てなく受け入れてくれる

次に、「初心者&スナ女受け入れられ度」。こちらは80点を付けたい。老若男女問わず様々な客が出入りしており、カラオケの履歴も、安室奈美恵、AKB48、EXILEから、ビートルズ、「マイウェイ」、演歌まで、幅広いのがその理由だ。

先週も朝まで飲んでいたという常連グループ(筆者撮影)

最後に、「常連客との絡み度」は90点。狭い店内と限られた席数、隣との距離感は自然と乾杯できる範囲だ。またママの料理の出し下げも常連客の連携プレーに支えられている。まるで常連客がスタッフ代わりのようであった。

今回、「お食事とカラオケの店 ゆず」にお邪魔したおかげで、荒木町の良さを再確認することができた。何より“人”がいい。お店のママも常連客も、分け隔てなく受け入れるオープンな懐具合には、痛み入るばかりだ。

人と人とが信頼関係で結ばれ、その絆は、時間と空間の共有によってさらに深まっていく。スナックはまさに、昔ながらの風情を残すコミュニティであり、サロンなのだ。そのことを思い出させてくれる店に出合えた喜びをかみ締めたい。

最後に余談だが、同行した編集者Mは今回も常連客にはやし立てられ、カラオケを歌う羽目に。リクエストに応え、曲目はあみんの「待つわ」。しかし、Mが歌い出した瞬間、みんなの動きが止まった。

想定していた声質よりも擦れた声、そして店全体が共鳴するような声量。本来、「待つわ」はハモリが気持ち良いのに、常連の女性が挑戦しても、ママが絡んでも、その歌声はMの声量にかき消された。恐るべし……編集者M。

五十嵐 真由子 スナック探訪家、PRプランナー

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いがらし まゆこ / Mayuko Igarashi

国立音楽大学卒。CM音楽制作会社、楽天を経て独立。Make.合同会社代表としてストーリーブランディングを手法としたPRコンサルティングを提案・提供している。またスナック探訪家女子「スナ女」として、「スナック入門講座」「スナック女子向けツアー」、オフィスコミュニケーション「オフィススナック」も精力的に行う。最新情報はホームページツイッターで配信中。

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