大人が遊ぶ「荒木町」を彩る女性たちの正体 スナック「ゆず」にはまた帰りたくなる

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「ママごめん、10人なんだけど大丈夫?」

急きょ、男性客が10人ほど来店してきた。

「みんな、ごめんね~。ちょっと移動してくれる?」

ママの一声に、常連客が動き出す。ある人はコップとおしぼりを奥へと運び、ある人は「また顔を出すね」と言って会計を済ませる。ソファーに腰かけていた私たちもそそくさとカウンターへ。これぞスナックならではの気遣いだ。

ママや常連客との絶妙な「距離感」

この団体、どうやら官公庁系の集まりのようだ。そのうちの1人が常連客で、「10人だからこの予算で頼むよと」とママに交渉。ママは笑顔で応じている。「普段来てくれているお客さんだからね。儲けは出ないけど、やっぱり喜んでほしいからねえ」

常連の男性は次のように語る。「通い詰めるときもあるし、しばらく寄らないこともある。でも、だいたい家に帰る前に寄っちゃうな(笑)。この店の魅力はママとお客さん。気心が知れているけど、お互いに詮索はしない。ママとも常連客とも、その距離感がいいんだよな」

お客さんを詮索しすぎない、ちょうどいい距離感が居心地のよい空間を生む(筆者撮影)

団体客はカラオケで盛り上がる。歌う曲は森高千里の「気分爽快」。上司も部下も関係ない。「飲もう~♪」という歌詞に、店内の客もグラスを持ち上げる。曲をきっかけに、店が一体感に包まれるのもスナックならではだ。

続いて、男性1人に若い女性3人のグループがやってきた。この近くで仕事をしている、不動産関連の会社員とのこと。仲良くカラオケで盛り上がる。管理職の男性に話を聞いた。

「先週も来たばかり。そのときも朝まで飲んでいて。この店にボトルを入れているけど、実は、この子らに勝手に飲まれています。でも、みんなが楽しめればそれでいいんです」

店も店なら客も客。フラットでオープン、そして自分だけでなくみんな一緒に楽しむために訪れている。

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