ゴルフは一生、プロも一生 レジェンンズ優勝、49歳大金寿子プロに学ぶ

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夏の終わりと秋の始まりが混じり合う季節になり、青空に浮かぶ雲もしだいに高くなってきています。先日「第4回レジェンズチャンピオンシップ supported by エリエール」が福島県いわき市で開催されました。この大会はプロ第1期生が元気なうちに、女子プロシニア日本一を決める公式戦をしようということで、45歳以上の女子プロを対象に始まりました。日本女子プロゴルフ協会は1967年に創立され、49人の女子プロが誕生しました。今回第1期生で出場されたのは、68歳の岡田美智子プロただ一人。残念ながら予選落ちしましたが、レギュラーツアーの最年長優勝記録50歳312日を持っています。全国各地を回るこの大会は地域社会貢献も開催目的に入っていますので、今回は福島での東日本大震災復興支援活動でもありました。

参加人数は90人で、競技は3日間。やはり体力とドライバーの飛距離が勝負を大きく左右するようで、2位に1打差で優勝した大金寿子プロは49歳でした。感激したのは優勝スピーチ。「夢みたい、信じられない」と何度も繰り返し、「両親の目の前で勝ててとてもうれしい! 元気なうちに自分の優勝する姿を見せることができて、本当によかった」と涙ぐんでいましたが、それは大方のプロゴルファーの気持ちです。大金プロは94年にプロ入りし、優勝争いをしたこともあるけれど未勝利で終わりました。レギュラーツアーを退いてからも、優勝したいという強い希望と目標を持ち、きついトレーニングに励んでいました。そして、その日を両親の目の前で実現できたのです。

毎年、夢膨らませて20人強のプロが誕生します。今年7月末のプロテストでは最年少は18歳、最年長は40歳です。一昨年は鎮西まゆみプロが43歳で合格しました。自分の半分くらいの年齢の人と同じ条件でプロテストに合格してくるのですから、その頑張りに敬服します。鎮西プロは昨年大会では、通算41勝を挙げた森口祐子プロと熾烈な優勝争いをし、残念ながら1打差で2位になりましたが、やはりシニア大会で優勝することを目標に頑張っています。

現在、女子のプロテスト合格者は810人。そのうち45歳以上は333人。全体の約4割はシニア層です。またレギュラーツアーで1勝以上挙げたプロは約2割の181人。プロゴルファーになったら誰もがツアーでの優勝を夢見ます。そして、その周りにいらっしゃる家族や友人、知り合いみんなが期待して待っています。でも約8割のプロは優勝の感激を味わうことができずに現役を退いています。プロは数字で結果が決まるはっきりした世界。

「頑張ったけど残念だった」は記録として何も残らない厳しい世界です。毎週その繰り返しの中、どのプロゴルファーも優勝を夢見て、たくさんの思いを乗せて大会に臨んでいます。

小林 浩美 プロゴルファー

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こばやし ひろみ

1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。

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