スケジュール作りも名手の条件 海外に出ても、日本のメジャーには戻って来て

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8月の全米プロで今年の4大メジャー競技は終わり、日本の選手では松山英樹の活躍が目立つ年でしたね。今後、世界の舞台へ羽ばたいていくんだろうけど、逆境に強い、あの粘り強さが大きな武器だね。今の選手は、アマチュア時代に世界のトップアマと戦っているから、周りのレベルがよく見えている、だから落ち着いてプレーができるってことですな。

われわれの頃、というか1970年代の初め、やれ、ジャンボだ、青木だと言われだした頃ですが。そんな日本を刺激するかのように、10月、11月に高額賞金のトーナメントが始まると、シーズンの終わった米国ツアーの選手が大挙してやってきて、その高額賞金の大半を持って帰ってしまったものです。

貧乏性の自分は、外国の選手に日本の円を根こそぎ持って帰られるような、そんな気がして悔しくてね、「それだったら、俺が米国に行ってドルを持ち帰ってやる」。それが世界のツアーに参戦したきっかけですから、日銀総裁に喜ばれそうな動機ですよ。

でも、いざ行ってみると自分のゴルフに自信はあったものの、一緒に回る選手のスイングを無意識に見てしまうんだね。決して、マネをしているつもりはないんだけど、日本に帰ってスイングチェックすると、米国選手のようなハイフィニッシュになっている。

農耕民族の自分は強い下半身と器用さが売り物、それを忘れちまうんだよね。日本のツアーに出て自分を取り戻し、また世界に挑戦する、その繰り返しのゴルフ人生です。

「世界の青木」なんて皆さんに言われ、さぞかし外国に強いと思われてはいますけどね。「かみさんいても3カ月、自分一人で3週間」、これが海外での滞在期間の限度ですよ。自分は古いタイプの人間ですから、今回の旅はいついつ日本に帰れる。その帰る日の楽しみがあるから外国での試合に打ち込めたんですね。そして、ある程度の成績を収めて帰ると日本での注目度が違いますから、そこでまた頑張る、すると、また外国に行く励みになる。日本と海外を年に数回の往復は当たり前でしたね、往復は体力的には疲れるかもしれないが、心に活力を与えてくれるんですよ。

まあ、世代が違いますから、若い選手の心境まで、多くはわからないけど、今後、海外に出ていく選手は、日本プロや日本ツアー選手権、それに日本オープンといった、日本のメジャー大会には帰ってくるといいと思うんだ。家族や古い友人たち、それに多くのファンが、旅の疲れ以上の活力を選手に与えてくれると思う。

世界で活躍するには、ゴルフの技術だけでなく、スケジュール作りも、その大きな要因と思うんですがね。

青木 功 プロゴルファー

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あおき いさお

1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エージシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。

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