簡潔!相手の心を動かす「15語以内」会話術 伝説のスライドは、たった3語だけ

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実はこの作業は、簡単なようで意外と難しいものです。実際にやってみると、スライドの表紙に自分で書いてあったタイトルと、コア・メッセージが一致しないこともよくあることです。

自分でつくったスライドからコア・メッセージを導き出す作業に悩んでいる研修参加者に対して、私は次のように質問します。

「自分自身でさえプレゼンのコア・メッセージがはっきりしないのに、それを聞かされる聞き手は、どうやったらあなたのコア・メッセージを受け止められるのでしょうか」

そもそも、「話す目的」が明確になっていますか?

実際に「コア・メッセージ」や「伝えたいことの全体像」を考える際に、最初に取り組むべきことがあります。

それは、「自分が話す目的」「プレゼンの目的」を明確にするということです。「そんなこと当たり前だ」という声が聞こえてきますが、意外とこの部分がしっかりと定まっていないプレゼンが多いのです。

プレゼンをする本人には目的が明確であっても、聞き手にはそれが十分に伝わっていないケースがよくあります。

私は、幹部向けのプレゼン研修では、「プレゼンの目的は大きく『1.説得すること』か、『2.情報を伝えること』のいずれかである」と教えてきました。もちろん、意思決定権者を説得するためには、その前段として情報を伝えることが必要になります(この2つの大目的をかみ砕いた中目的としては、「『意思決定』をしてほしい」「何かの『行動』を取ってほしい」「自分の提案を『受け入れて』ほしい」「情報の『共有』をしたい」の4つがあります)。

日本人が行うプレゼンでありがちなのは、本来の目的が「説得すること」なのに、前段の「情報を伝えること」で終わってしまうことです。

相手を説得するためには、具体的に「予算を2億円増やしていただきたい」とか、「本プロジェクトを立ち上げることを承認していただきたい」など、相手に取ってほしい「行動」をリクエストしなくてはなりません。そして、その行動を取ることについて、相手に賛同してもらうことが必要です。

『世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられているプレゼンの基本』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ところが日本人は、謙虚すぎるのか奥ゆかしいのか、はたまた人に何かを要求することに慣れていないのか、具体的なリクエスト内容があいまいであることが多く見受けられます。ふわっとした「お願い」程度のことだけを述べて、「この後に私がお願いしたいことはお察しください」とでも言いたいような表情を浮かべる人もいます。

こうならないためにも、プレゼンの目的をしっかりと定める必要があります。

そして実際に話す(プレゼンする)際には、「最初にその目的を言ってしまう」ことです。

自分がこれからしようとするプレゼンの目的は、どれにあたるのかを考えてください。そのプレゼンの目的によって、メッセージのつくり方も、伝え方も変わってきます。まずはしっかりと目的を定めて、実際のプレゼン実施までの全行程の間、目的を見失ったり、ぶれたりしないように気をつけてください。

田口 力 TLCO代表

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たぐち ちから / Chikara Taguchi

元GEクロトンビル・アジアパシフィック プログラム・マネジャー。上智大学グローバル教育センター非常勤講師。1983年早稲田大学卒業。政府系シンクタンク、IT 企業などを経て、2007年GE入社。世界最高のリーダー育成機関として知られる「クロトンビル」で、日本人として唯一リーダーシップ研修を任される。日本・アジア太平洋地域の経営幹部育成プログラム責任者として研修を企画・開発・実施。2014年に独立し、国内外の企業幹部に対して「リーダーシップ研修」を指導。2004年、一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了(MBA)。著書に『次世代型リーダーの基準』『クロトンビル 世界最高のリーダーを育てる組織』(KADOKAWA)など。

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