「いいエネルギー」は、その場に身を置くとよくわかる。出店者も来場者も皆楽しそうで、筆者は文化祭や体育祭に仲間と夢中で取り組んだ高校時代をふと懐かしく思い出した。特にお目当てのお店がなくてもついつい財布のひもが緩んでしまったり「また来たいな」と思うのは、その場の活気や幸せな空気感の後押しもあるからなのかもしれない。
面白いことに、後日来場した客から寄せられる声で多いのは、「“参加”してきました!」という言葉だそう。「『行った』ではなく、『参加』なんです。一緒に作ってくれている感じがして本当にうれしい」と、北島社長は笑う。
イベントの利益率はいいという。2012年から300円の入場料(以降、各イベントにより異なる)を取り始めたことも大きいようだ。当時はまだクラフト系イベントで入場料を取る前例がなく、かなり悩んだそうだが、ここでの決断が今につながっているという。
メディアだけが編集の対象ではない
実は、同社は、イベントのほか、カフェや雑貨店を6店舗運営しており、オリジナル雑誌の制作なども行っている。興味深いのが、「編集チーム」を名乗る点だ。「バンドでいうと、雑誌作りはアルバム制作と同じで、イベントはライブと同じ。『出口』は異なるけれど、すべて『編集』という作業」と、北島社長は説明する。
だから、25人の社員は編集(主にイベント担当)、雑貨、カフェと部署は分かれているが、全員が「編集者」という意識で仕事をしている。垣根を超えた仕事も多く、たとえば、イベント出店者の候補提案は全員が行う。店舗担当が雑誌を作り、編集担当が店頭に立つことも。
この「メディアだけが編集対象ではない」という姿勢は、北島社長が歩んできた道のりと関係がある。北島社長は、かつて第一プログレスという出版社の編集者だった。クラフト作家などへの取材が多かったことを機に、作り手やその作品に強く魅了されたという。
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