28歳、顔出しで発達障害語るブロガーの真実 「命のほうが大事なので会社を辞めました」

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1年間休養し、少し体調が戻ってきたときにアルバイトで入社したA社は事務職だった。しかし、すべき仕事はほとんどなく、いつも2~3時間で自分の仕事が終わってしまう。「何かすることはありませんか?」と周りの社員に聞いて回ってなんとか1日過ごしていたが、3カ月でクビになってしまった。この後、サトエリさんは現在まで4社に転職することになる。

なぜ、事務職は自分に合わなかったのか、確かめるために次の会社のB社も事務職(アルバイト)を選んだ。しかし、ここでもうまく働けず8カ月でやめた。そして、4社目は清掃会社のC社へ。

「発達障害の診断がおりたのが、ちょうどB社とC社の間の、つなぎのバイトをしていたときだったんです。自分が発達障害だとわかってから、なぜ私の対人関係がおかしかったのか、すべてつながりました。そこで、自分の体調と才能を腐らせないためにどうすればいいかを考え、自分の取扱説明書を作りました。自分のスキルや特徴を書いているうちに、細かいところにこだわりがちであることに気づきました。たとえば、お皿の列を整えたり、本棚から飛び出ている本を整理したりしないと気がすまないとか。そう考えると、もしかすると清掃会社ならいけるのではないかと思いついたんです。そして、20社くらい清掃会社に電話してC社の内定が出ました」(サトエリさん)

雑談を頑張ったつもりが逆効果に

C社で働いた後、またもや転職をし、4社目のD社も清掃会社を選んだ。ここは契約社員での雇用となり、初めて社員とつく名の仕事を勝ち取った。ところが、このD社で人間関係の壁にぶち当たる。

「発達障害の人って雑談が苦手という特徴がありますよね。私、雑談をするのはかまわないのですが、雑談を強要されるのが嫌なんです。転職するたびに、あいさつと雑談がない世界に行きたいという気持ちが強くなるばかりでした。『あいさつは世間へのパスポート』といううまい言い回しをネットで見かけたことがあるのですが、そんなに大事ならあいさつをすればいいという気持ちをやめませんか?って思うんです。

雑談も話すキッカケになるのは理解できるのですが、それって他に話すキッカケを作ることをサボっているように思えるんです。私からしたら、会社の人たちってあいさつと雑談を盲信しているように見えてしまって……。朝は『おはようございます』、午後は『お疲れ様です』というのが私の中ではつながらなくて理解できないんです。

でもやっぱり、組織で働くというのは実際の業務の内容なんかよりあいさつと協調性が絶対なんです。業務以外のことができないと人間としての評価はいまいち。当時の私は、仕事をするスタートラインにも立っていない状態です」(サトエリさん)

多くの人は何の疑問ももたずに行っているあいさつや雑談であるが、ここまで深く考え、自分の理論を組み立てているのはASDの特徴と言えるのかもしれない。そうやって疑問と鬱憤を溜め込んでいったサトエリさんだったが、ついに限界がきてしまった。

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