「悪質クレーマー」は一体どれだけ不当なのか

行き過ぎたお客様主義に走らないのも肝要だ

クレーマーによっては、その場で念書を書かせようとしたり、従業員個人に金銭を要求したりするケースもあるようだが、そのような要求に従業員個人は安易に応じてはならない。

一方、企業側としては従業員を客の迷惑行為から守るために何ができるだろうか。会社として取り組める対策のポイントは3つある。

マニュアル整備と、接遇研修の充実による対策

第1は、迷惑行為対応のマニュアル整備だ。

クレーマーなどの迷惑行為への対応を現場だけに任せきりにしていては、従業員によって対応にバラツキが生じるし、経験が浅い従業員にとっては負担が大きくなってしまう。

そこで、会社として、従業員が迷惑行為を受けた場合の標準的な対応手順をマニュアル化し、各現場へ配布しておくのである。これまでに受けた悪質な迷惑行為と、どのように解決を図ったかを具体的事例として蓄積し、共有を図ることも大切であろう。また、ロールプレイング研修を行っておくことも効果がある。

そのように準備をしておけば、いざ迷惑行為に直面したとき、従業員は会社のマニュアルに沿って対応しているという安心感や自信が持てるから、暴言や不当な要求に対する対抗力も高まるのだ。

第2は、社員への接遇研修の充実である。

最初はクレーマーになるつもりがなかった客が、対応した従業員の対応が悪いと感じたため、「クレーマー化」してしまうという事態はしばしば発生する。

このようなタイプのクレーマーに関しては、従業員の顧客対応のスキルが向上すれば、「クレーマー化」を防ぐことができる場合が多い。

私の知人が航空会社で経験したことだ。彼が飛行機に搭乗して指定された席へ着席したところ、後ろの席の乗客の手癖足癖が悪く、頻繁にいすの背を押されたりたたかれたりするので、どうしても我慢ができず、席の移動をお願いしようと思った。そこで、キャビンアテンダントに声をかけようと少し身を乗り出したところ、「ご着席ください!」と有無を言わさぬ強い口調で彼が注意を受けてしまった。

実際、航空法のルールがあるので、離陸後、水平飛行に入ってシートベルト着用サインが消えるまでは待つべきだった彼に非がある。しかしながら、彼はその瞬間、後ろの席の客とトラブルを抱えている心理状態の中、しかるような口調で一方的にシャットアウトされてしまったので、不快感が込み上げてきたそうだ。もし、彼が自分を抑制できていなかったら、「なんだキミ、その態度は!」と爆発していたかもしれない。

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