日本の「農家民泊」が秘める小さくない可能性 イタリアでは一大産業になっている

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「食」からの地域を作るとは?(写真 : sasaki106 / PIXTA)
「食」からの地域を作ろうという新しい試みが次々と動き始めている。『田舎の力が未来をつくる!』を書いた食総合プロデューサーの金丸弘美氏に最近の動きについて聞いた。

イタリアは農家民泊の大先輩国

──イタリアから本書は始まります。

イタリアはアグリツーリズモ、今ふうにいえば農家民泊(農場経営型宿泊施設)の大先輩国。イタリアには民泊農家が2万軒以上、日本の10倍ある。もともと過疎化は日本より早く始まり、それを逆手に取って観光に生かし、宿泊・農業体験をする仕組みを作った。特徴は施設を「横」につなぎ、国を挙げてマーケティングをやっていることだ。

スポットの農家宿泊では大したおカネは落ちない。広域に連携して滞在日数の長期化を狙う。その状況を横目で見て、内閣府が今年100億円の予算をつけて、農山村での地域観光を開拓し、4年後に1450万の訪日観光客を誘致したいと目標を掲げた。

──大阪、東京、京都には観光客がすでにあふれています。

もうキャパシティ上も問題。農村観光なら農家宿泊だけでなく、一棟貸し、ゲストハウスなど、宿泊先のあり方も多様性を増す。民泊が欧州の地方観光でのキャパシティを大きくしている。EU諸国は行き来が簡単でもあるし。

イタリアはアグリツーリズモが盛んで観光客の7割が農家に泊まる。農家収入の7割近くにも達しているという。しかもその宿泊地は国土の8割を占める中山間地。日本も中山間地は多い。そこに外国人に泊まってもらおうと。空き家を活用し、自治体が連携してNPOや一般社団法人でやってほしいと国は勧める。イタリアは1985年にアグリツーリズモ法を作り、推進する法人であるDMO(観光地経営)の後押しを始めた。

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