こうした意識がそのまま社会に出ても保たれており、スウェーデンでは男女、子ども、LGBT、マイノリティ、障害などすべての人に平等の権利が与えられています。逆に言えば人口が少ないので、みんなが力を合わせて働くことが当たり前なのです。移民も好意的に受け入れ、優秀な即戦力として働いています。スウェーデンの企業といっても、スウェーデン人が創業者でないこともあるのですが、そんなことも気にしません。多種多様な文化や価値観を受け入れる土壌が、より広い視野で物事を動かしていく力になります。
イノベーションには考える力も大切です。小学校から大学までクリティカルシンキングのスキルも重要視され、取り入れられています。スウェーデンはとても教育レベルが高く、1477年にはすでに大学がありました。大学ではただ座って講義を聴くということは少なく、グループディスカッションなどで意見を言い合い、アクティビティを行うことでチームワークを身に付けることが多く行われます。「きみはどう考える?」ということをつねに問いかけられるのです。小学校から大学までクリティカルシンキングや、Creativity(創造性)を養う教育環境があり、社会に出る頃にはこれらの素養がしっかりと身に付いています。
英語を話せるのが当たり前な理由
――日本では就学前と小学校ではCreativityを養う教育がまだありますが、中学校、高校と上がるにつれて受験に向けた詰め込み教育の比重が増し、その素養が残念ながら失われていきます。ところで、スウェーデンは2016年の世界英語能力ランキングで3位と、英語でのコミュニケーションも普通に行えますよね。
はい、英語にまったく問題がないというのが、グローバル企業が多い理由の1つにあると思います。
スウェーデンの人は英語が話せるというのが当たり前です。映画やテレビ番組などをスウェーデン語に訳すほどマーケットが大きくないため、英語のまま放送されています。テレビ・映画・本などが英語で周りにあふれていますので、普段の生活の中で英語に親しむ環境があり、大学生になる頃には流暢(りゅうちょう)に英語を話すようになります。
移民を受け入れているということも、英語が伸びる理由かもしれません。移民の人はスウェーデン語を話さない人もいますので、目の前にいる人がスウェーデン語を話すかどうかはわからないのです。必然的にグローバル言語である英語が必要になります。ネットでこれだけ情報が得られる社会では、英語ができることで世界中の情報を得ることができます。また、自分たちの商品を最初から英語で作ることで、発信できる先も一気に広がるのです。
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