「大人の語彙力」はなぜ急速に失われたのか 「ぶっちゃけ」を丁寧に言えますか?

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私は『語彙力こそが教養である』『大人の語彙力ノート』と語彙に関する2冊の本を出しましたが、「語彙力」が注目される背景には、読者の方々の中にも不安や違和感があるのだと思います。

語彙力を「言い換え力」で身に付ける

必要なのは、語彙を増やすということ、語彙力を高めるということです。

日本語の語彙は大変豊かです。ですから、1つの言い方だけではなく、「言い換え力」を身に付けていくといいでしょう。こうも言えるし、ああも言える。あるいはニュアンス的にはAよりもBのほうがよりニュアンスが伝わるといったように、細かなニュアンスが伝わるように言葉をセレクトする。そういう力が語彙力というものです。

語彙力がない人は、決まりきった言葉、あるいは子どもっぽい言葉しか使えません。そうすると、正式な場面でのあいさつ、たとえば結婚式、あるいはお葬式、あるいはみんなの前でプレゼンテーションをするとか、会を取り仕切るといった場面で恥をかくことにもなってしまう。

そこで、フレーズとしてまずは使いこなせるようになっておくとよいでしょう。

新刊でも触れましたが、ここで、大人であれば言い換えを持っておいてほしい言葉について、紹介していきましょう。

●なるほど

会話の中で相手に同意をすると、相手も安心して話をしてくれます。「なるほど」は、状態や理屈を確認し、納得することを示す言葉。会話では相手の言葉に同意する気持ちを表します。

相槌として使いやすいため、クセのようになって連発してしまう人が多いようですが、多用していると、「ちゃんと話を聞いているのか」と相手に疑念を抱かせる恐れがあります。また、目上の人に対して使うと尊大な印象を与えるので、頻繁には使わないのが基本です。

「おっしゃるとおりです」「確かにそうですね」「ごもっともです」といった相槌に使える言葉も知っておくとよいでしょう。クレーム対応のプロによると、「おっしゃることは、ごもっともです」という言葉は、相手の怒りをおさめるにも効果的だそうです。

●大丈夫です

「大丈夫」も普段さまざまなところで使います。たとえば、「その仕事1人でできる?」と言われて「大丈夫です」、また「手伝おうか?」と言われて「大丈夫です」など。便利な言葉ではありますが、最近は「心配ありませんよ」という意味や拒否の意味でも使われるため、意味がとりにくいことがあります。

「心配ありません」という意味でしたら、「問題ございません」「差し支えありません」という言葉が丁寧ですし、「不要です」ということを言いたいなら「お気持ちだけいただきます」と言ったほうが伝わります。

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