企業の宣伝に暗躍「インフルエンサー」の正体

かつては「商品ばらまき」も横行していたが…

そこでリデルは、多くのインフルエンサーマッチング業者とは真逆の事業施策を行っている。そのひとつは社名を伏せたステマ撲滅キャンペーンで、上記のような広告的アプローチ以外にも、資格試験などの通信教育を行う著名企業と提携し「インフルエンサー検定」の立ち上げなどに取り組んでいるという。

さらにインフルエンサーの質を担保するため、登録インフルエンサーを水増しする会社もある中、登録者の上限数を設定した。今夏に登録者が2万人に達した時点でこれを上限としたうえで、ルール違反や活動低下しているインフルエンサーを削除していき、来夏までには1万5000人まで登録者を暫時減らしていくと発表した。新規登録者は上限として設定している人数を下回った場合のみに追加される。

「大手企業も商品告知の一手段として、安心して活用できる事業環境をつくる必要がある」と福田氏は指摘する。

実際に企業がリデル運営のインフルエンサー・マッチング・サービス「SPIRIT(スピリット)」を利用する手順は次のようなものだ。

募集要件をまとめてインフルエンサー向けの情報告知を行い、インフルエンサー側がそれに応募する。一方、募集する企業側は応募者のインフルエンサー属性データを参考にしながら告知したい相手を選ぶ。イベント招待をはじめ、商品サンプルの提供、貸し出しなど、商品やサービス、目的などによって募集内容はさまざまだ。

インフルエンサーの投稿はすべて内部チェックする

インフルエンサーの募集要件がステマにならないようにするのは当然だが、最終的にインフルエンサーが投稿する内容も、すべて内部チェックするという。提供を受けた商品なのか、イベントなどならば招待を企業から持ちかけられたものなのかを本文に書いたうえで「#PR」などのハッシュタグを付けているかを確認する。

「仮にステマと疑われるような例を作ってしまうと、それにかかわった企業のブランドは地に落ちてしまいます。それを十分に理解している企業に対して、明確な対策を行っていかなければなりません。これは当社の戦略でもありますが、業界全体に広めるために必要なことです。そしてなにより、こうした新しいコミュニティの中心にいるはずの一般の若い女性が、知らないうちにステマに手を染め、自分自身の価値を落とすことを防ぐことにもなります」(福田氏)

このような徹底したステマ対策は、企業側でなくインフルエンサー側にも受け入れられ、自らを守る手段として“ステマをしない”という風潮が、インフルエンサーのコミュニティにも生まれつつあると福田氏は指摘する。

トップインフルエンサーが率先して、自分たちが気に入った商品を「#PR」ハッシュタグ付きで発信していく啓蒙を続けた結果、かつては“恥ずかしい”“ダサい”という印象だった「#PR」が、むしろコソコソせず、自信を持って発信している印になりつつあるという。

もっとも、インフルエンサーマーケティングの健全性確保はスタート地点にしかすぎない。リデルはSPIRIT登録するインフルエンサー向けに、インタビューメディアを予定しているという。インフルエンサーの人となりをインタビューで深掘りし、より魅力的な投稿を行えるよう、新しいトレンドやスポットなどの情報をまとめ、インフルエンサーがより質の高い情報発信を行えるよう、インフルエンサー向け専門メディアを立ち上げる。

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