企業の宣伝に暗躍「インフルエンサー」の正体 かつては「商品ばらまき」も横行していたが…

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一般の女子大生や会社員にもかかわらず、数十万~100万近いフォロワーを持つ「インフルエンサー」もいる(本写真のモデルは本文内容とは関係ありません)(写真:Ushico / PIXTA)

タレントでも製品評価の専門家でもない一般消費者が、ファッションやコスメティクス、旅行、スイーツカフェなど女性が好む商品ジャンルを中心に、消費行動に影響を与える“インフルエンサー”(影響力のある個人のこと)として注目され、いまやテレビや雑誌よりもその影響力を重視する企業まで登場している。

これまでもインターネットサービスを発信源として影響力を持つ個人は“インフルエンサー”と呼ばれてきた。さかのぼれば2000年代のブログによる個人による情報発信が社会的影響力を強めた時代があったが、それが利用されるサービスのトレンド変化とともに短文、あるいは写真などさまざまな形態に分化していったと見ることもできる。

近年、上記のようなジャンルを中心にさまざまな流行が生み出されるようになったのは、インスタグラムの利用者が急増した影響が大きい。個人が自分の趣味や興味にエネルギーを注ぎ込み、自らの“センス”を生かしてひとつの世界観を作り始めたからだ。

「自分と似た感覚」を持つ人をフォローする

世の中にはよく似たデザイン、色使い、形、機能を持つ商品はたくさんある。その中で、なぜその製品を選ぶのか。どうすれば、お気に入りの商品にたどり着くのか。以前ならば雑誌などを頼りにしていた消費者は現在、自分があこがれるセンスを持つ人、自分が共感できる人を参考にし始めている。

インフルエンサーとは、何か特殊な能力や経験を積んだ人たちというよりも、より多くの人から“いいな”と思われる感覚を持ち、世界観を作れる人といえるだろう。フォロワー(アカウントが発信する情報に注目している人)たちは「この人の選ぶものはいいものが多いな」とフォローし、サラサラとタイムラインに流れる写真や動画を見ながら、自分のセンスを磨き、商品知識をためていく。

必ずしも著名人ではなく、むしろ一般の学生や若年層の会社員がほとんど。1万~10万程度のフォロワーを持つ“マイクロインフルエンサー”がインフルエンサーの中心だ。中には“マイクロ”の領域を突破し、一般の女子大生や会社員にもかかわらず、数十万~100万近いフォロワーを持つインフルエンサーもいる。

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