企業の宣伝に暗躍「インフルエンサー」の正体

かつては「商品ばらまき」も横行していたが…

リデル社長の福田晃一氏(筆者撮影)

リデルは2016年末に設立された新しい企業だが、実はインフルエンサーマーケティング事業は2年以上前から開始していた。社長の福田晃一氏は、鈴木奈々などが所属する株式会社TWIN PLANETの共同設立者で、同社内に自ら設立したインフルエンサーマーケティング部門を買い取り、昨年、独立した会社とした。

福田氏は「ステマ、あるいはステマと誤解される発言は、消費者側の視点ではもちろん“欺かれる”行為ですが、同時に企業のブランドを毀損し、情報発信をするインフルエンサー価値も毀損しています。ステマで得をするステークホルダーは誰もいません。ところが多くのインフルエンサーはステマに対する知識が乏しく、自らの価値が毀損しているとは想像もしていません」と話す。

インフルエンサーマーケティングで実際に情報を発信しているのは、特定の組織に属さない個人(しかも若い女性が主体)だ。当初は設立間もないブランドが認知を得るため、ステマまがいの商品ばらまきを行う事例も多かったという。さらにマッチングサービスを提供する企業も玉石混淆。効果測定などの手法も整備されておらず、登録インフルエンサーの数や質を水増し、ステマまがいの発信を放置したまま、結果的にクライアントのブランドを毀損する例も多かった。

「ステマ撲滅活動」に予算を割り当てる

リデルがユニークなのは、ステマや数値の水増しなどがインフルエンサーマーケティング全体の信頼性を落としているとして、インフルエンサーのステマに対する理解やステマ撲滅活動にマーケティング予算を割いていることだ。

この夏にはインスタグラムなどで話題になり、世界的に知られるようになった「Smoking Kills」Tシャツを販売するブランドFR2とコラボレーションし、「Stealth Marketing Kills」Tシャツを発売。インフルエンサーに配付するなどした。予算はリデルが捻出したが、一方で自らの企業名は入れなかったという。

「インスタグラムなどで個人が情報発信を行える時代、個人が市場に影響力を持つのは自然な流れです。しかしあくまでも個人であって、業界ルールなどを教育し、なぜステマをしてはいけないのか、一時的に報酬を得たとしても、それが結果的に自らの損失につながるのかなどの知識は持っていません。一方、ステマを持ちかける企業は後を絶たず、その間をつないで一時的に利益を得ようとする業者もあります。これでは健全な業界の発展はありません」(福田氏)

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