企業の宣伝に暗躍「インフルエンサー」の正体 かつては「商品ばらまき」も横行していたが…

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さらには企業向けには登録インフルエンサーに対して新商品やサービスの情報を届ける「EMERALD POST」というサービスも計画中だ。新聞や雑誌メディアなどプロ向けの情報ではなく、あくまでも一般人であるインフルエンサーに向けた情報発信に特化することで効果を高めることができると同社は考えている。

「インフルエンサーに対して“こんな投稿をしてください”といった持ちかけをするのではなく、“こんな商品・サービスがあります。このようなコンセプトで作られ、こんなデザインですよ”と、正しい情報をインプットすることで結果的に興味をひくほうが、インフルエンサーのモチベーションを高め、よい結果が得られます」(福田氏)

自制的な運営スタイルだが業界は急伸しており、同社は昨年冬に5人で事業を始め、現在はすでに23人まで社員が増加。今年12月には60人まで増員するという。

インスタジェニックをテーマにした仕掛け

従来にないマーケティングの成功事例として話題となった「アイスクリームミュージアム」をご存じだろうか。今夏にニューヨークのポップアップ(期間限定)イベントとしてスタートし、3万枚の前売り券が瞬く間に売り切れたうえ、20万人の入場待ちを生んだ。非日常的ながら誰もが親しみやすくインスタジェニックな内装、異なるコンセプトのブースを複数構えるアイスクリームミュージアムには、事前告知なしでインスタグラムユーザーの間で広がり、今年4月にはロサンゼルスで規模を4倍に拡大してこの秋まで期間限定オープン。来年2月にはサンフランシスコでも、同じくポップアップのスタイルで開催される。

このようなインスタジェニックをテーマにした仕掛けは、商品デビューイベントはもちろん、店舗レベルにも広がっている。韓国系ファッション・コスメティックブランドのスタイルナンダは、日本進出1号店に複数の写真映えするスポットを設置。写真撮影のために女性たちがお店に集まり、商品を購入したうえでインスタグラムに投稿するという事例を作って人気を集めている。

共感型フォトジェニックアート展と銘打つ「VINYL MUSEUM」(写真:リデル)

こうした中でリデルが12月12~26日、東京・表参道の BA-TSU ART GALEERYで開催するのが「VINYL MUSEUM」だ。それぞれコンセプトを持った8種類のアートブースと8種類のアートウォールを用意する。入場料は1500円。1時間枠の入れ替え制だ。そのうち、いくつかのブースには企業協賛が入り、それぞれの商品・キャラクターとマッチする世界観のブースも設置される。

集客目標は延べ来場者で7000人を見込むが、直近のインスタグラムにおけるマイクロインフルエンサーのフォロワー数などから、1ブース当たり約4000万リーチ、イベント全体で3億リーチ以上の露出が見込まれるという。

まだ一般にはなじみのないインフルエンサーを活用したマーケティングだが、こうしたイベントの成功が続けば、さらに多くのジャンルに広がり、企業が積極的にブランディングや商品立ち上げ時の認知拡大に活用しはじめるようになるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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