企業の宣伝に暗躍「インフルエンサー」の正体

かつては「商品ばらまき」も横行していたが…

数多く存在するインフルエンサーの属性や影響力を測定・分類して企業に提供するサービスを展開する事業者も登場し、PRプランを事前に立てやすくなっている点も大きい。

しかし、それでもなお、このPR・告知に関するパラダイムシフトが複雑な状況を生み出しているのは、単に“企業が消費者を欺く”といった単純な構造では語れないものだからだ。

前述した“ステマ問題”は、ブログ黎明期の2000年初頭からあった。ブロガーにいち早くブログを書いてもらうため、商品・サービスの無償供与競争、さらには掲載に対して報酬も支払う企業が増加。米国では2004年にWOMMA(Word of Mouth Marketing Association:口コミマーケティング協会)が設立され、商品供与や報酬・便宜の有無などの表示基準が設けられた。

日本でもWOMマーケティング協議会(WOMJ)が2009年に設立され、WOMMA基準をベースにガイドラインが策定された。その後、SNSの台頭に対応するため2012年に改訂されている。このときのルールは総務省、経済産業省も確認のうえ、消費者庁のリポートにも記載されている。

一部には「インスタ時代に対応できていない。ルールがない」といった指摘・報道もあるが、実はそれは誤り。業界内ではルールはすでに存在している。しかし、そうしたルールが個人であるインフルエンサーに行き渡っていない現状がある。

「#PRをつけるのはダサいから嫌」

WOMJの活動にも初期から携わってきた博報堂DYメディアパートナーズの森永真弓氏は次のように話す。

「ステマの実態を調査していくと、“この商品はメーカーからもらったものだけれども、私が本当にいいと思ったんだからフツー(協力・PR表記なしでそのまま)に投稿してもいいじゃん、もらいました~とか、モニターでーすとか、#PRとか、つけるのダサいから嫌なんだよね”と主張するインフルエンサーも中にはいます。彼らの多くが個人であり、企業のように利益を求めて活動しているわけではないという思いが強いからです」

推薦・称賛する気持ちは本当だから「この投稿は企業から依頼を受けているものです」と書く必要はないではないかという理屈だ。 こうした風潮が生まれている背景には、“口コミマーケティングの業界ガイドライン”が、情報を発信する企業側の倫理を規定しているものであり、個人で情報発信するインフルエンサーを制限するものではないと誤解している人が多いからだと森永氏は指摘する。

こうした中でインフルエンサーを活用したマーケティング業界には自浄作用を促すべく、自ら“ステマ撲滅”を目指した活動を行っている企業がある。登録インフルエンサー数で業界一といわれるリデル株式会社だ。

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