サウジの王子が11人も「一斉逮捕」された事情

警察からは逮捕理由は一切発表されていない

アナリストらによると、リストに含まれているのは、私利をむさぼっているとうわさされている人々や、王国内で力を持っている対抗勢力のようだという。そのほかには、アブドラ国王の時代に王宮を動かしていた黒幕的な人物や、中東で最大手クラスの民間メディア企業のオーナーらが含まれている。

しかし、リストの中にはムハンマド皇太子の側近、アーデル・ファキーフ経済計画相の名前もあった。彼は、野心的な経済改革プログラムを中心となって推進している人物だと考えられており、アナリストらは彼の逮捕の理由は何なのかといぶかっている。

また、アルワリード王子の逮捕の理由も明らかでない。同王子は、ツイッターやニューズコーポレーション、アップルやフォーシーズンズなど、西側の著名企業に投資を行ってきたことで有名だ。

中東のリーダーは時に残酷な粛清を行う

アルワリード王子は、海外からの投資を呼び込もうという皇太子の計画を積極的に支援してもいた。ただし、王家の年長者34人で構成される「忠誠委員会」が、ムハンマドの皇太子への昇格を承認した際、アルワリードの一族であるタラル家の人々が3人反対に回ったという。

ロンドンの王立防衛安全保障研究所でサウジアラビアについて研究するマイケル・スティーブンスは、中東のリーダーは時に残酷な粛清を行って、ライバルたちを抑えてきたと話す。ムハンマド皇太子が行ったことは、スティーブンスによると「自分の権力が脅かされないようにする方法としては、より穏やかなもの」だった。

今回の逮捕が、専制政治になだれ込んでいく兆候なのか、あるいは「ムハンマドは壁を認識し、それを何とか乗り越えたのだと、後になって語られるのか」。それは時間が経てばわかると、スティーブンスは言う。

(執筆:David D. Kirkpatrick、翻訳:東方雅美)

©2017 New York Times News Service

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
トレンドライブラリーAD
人気の動画
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
AOKI、コロナ禍で売れた「パジャマスーツ」で描く復活戦略の要諦
AOKI、コロナ禍で売れた「パジャマスーツ」で描く復活戦略の要諦
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
持たざる国・日本に大激震<br>エネルギー危機が来る

脱炭素の移行期に化石燃料の争奪戦が勃発。天然ガスの価格は歴史的な急騰を記録しました。余波はサプライチェーンの混乱から世界経済の後退懸念、原発待望論まで広がります。資源小国の日本が生き残る道はあるのでしょうか。

東洋経済education×ICT