若い人ほど要注意?「めまい」は体の黄信号 「クラッ」「ヨロヨロ」めまいに潜む大きな病

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若い人に増加傾向

「朝、布団の中で目が覚めたときに、グルグルと回転しているようなめまいを感じ、起き上がれない。左右の耳のどちらかを下にすると、症状がひどくなりやすいのも特徴です。本来、『良性発作性頭位めまい症』は、高齢者や長期入院の患者さんに起こりやすい病気です。しかし、近年、若い人の発症が増加傾向にあるのです」

耳石に異常が起こる原因としては、中耳炎、頭部外傷、騒音性難聴、低血圧、結核などが代表格だが、原因不明なことも多いと言う。澤選手のように、ヘディングなどで頭部に衝撃を与えていることでも引き起こり、職場の騒音、あるいはヘッドホンなどで大音響の音楽を聴き続けることで耳鳴りとともに生じる「騒音性難聴」も、耳石の異常に結び付くそうだ。

日常的に頭部や耳に衝撃を与え続け、めまいが生じれば、「何か変?」「病気?」と思うだろう。しかし、そんな原因に思い当たらなくても、ある日突然、良性発作性頭位めまいに襲われてしまう人もいる。病名を知るのは、当然ながら医療機関で診断を受けてから。

「治療法は、異常な耳石の位置を、頭部を動かしながら戻す治療法や、抗めまい薬の投与などがあり、早期診断&早期治療で改善しやすい病気です。『回転性めまい』だけでなく、脳への血流不足によるめまいも同様ですが、早期発見&早期治療がなにより。放置すれば症状が繰り返し起こりやすいのと、また別の病気が潜んでいることもあるので注意しましょう」と梅田院長はアドバイスする。

 身体を休めて治るめまいは休養、それでも何回も繰り返して起こるめまいは受診が不可欠。たかがめまい、されどめまいと心得たい。

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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