株式相場は弱含み、証券会社はこれからが正念場
4~6月までは順調に業績を伸ばしてきた証券会社ですが、これから先も好業績を維持できるかというと、これまでどおりにはいかない可能性があります。
株価が急落した5月23日以降、株式相場はしばらくの間、荒れ模様となりました。それから8月に入り、お盆休みを挟んだこともあって、相場は膠着状態から少し弱くなってきていると感じるのです。東証一部の売買代金も現時点9月上旬では2兆円を切る日も続きました。
株式市場が弱含んでいる理由は、それだけではありません。ひとつは、シリアの情勢が緊迫化していることも影響しています。市場に先行き不安が広がり、資産を株式から安全資産に移そうという動きが出ているのです。さらに、シリア情勢は原油価格の高騰も招いていますから、ただでさえエネルギーコストの高い日本の株が下がりやすくなっているのです。
もうひとつは、FRB(連邦準備制度理事会)が「そろそろQE3を縮小し始めるかもしれない」という認識を示したことです。そのために新興国から資金が引き上げられ始め、ブラジルやインドなどの新興国の景気が減速しているのです。こちらも、間接的に株価の下落に影響しています。
ですから、このままの状態が続きますと、証券会社の7~9月の業績は第1四半期に比べて、少し落ち込む可能性があります。ただ、オリンピックが東京に決まったという明るい材料もあり、少し相場が持ち直しています。
このような動きに伴い、証券会社の株価も以前ほどの勢いはありません。SBIの株価は5月1日に1900円をつけていましたが、その後、急速に落ち込んで、8月以降は1000円くらいで推移しています。野村ホールディングスの株価も、5月半ばに980円近くまで上昇していましたが、9月3日現在では720円前後となっています。5月22日の株価急落から、証券会社の株価も軒並み下落し、以降、低空飛行を続けているのです。
以上の点を考えますと、証券会社はこれからが正念場だと言えます。株式市場が再び熱を帯びてくるのか、あるいは、このまましばらく低調な動きを続けるかは、先ほど述べたシリア情勢やQE3の動向、オリンピックでの投資額や波及効果、さらには重要な景気指標の発表などに影響されますから、これらのニュースには注意してください。それによって、証券会社の株価も左右されると思われます。いずれにしても、7~9月の業績には注目です。
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