野村證券とSBIホールディングスを分析する アベノミクスのミニバブルで、驚異的な増収増益に 

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次にSBIの財務内容も見ていきましょう。まずは損益計算書(5ページを参照)に注目しますと、「営業収益」は365億円から801億円と、格段に増えています。本業の儲けを示す「営業利益」も、39億円から312億円まで、8倍近く伸びていますね。最終利益である「四半期利益」も、22億円から178億円まで、こちらも8倍近い伸びとなっています。

先ほども触れましたが、SBIはオンライン取引専業で手数料の安い証券会社ですから、利用者にとって利用しやすいために、対面証券よりも収益が伸びやすい傾向があるのかもしれません。以上のことから、野村證券、SBIともに業績が驚異的に改善していることがわかります。

昨年4~6月の株式市場はかなり冷え込んでいた

2社の業績の大幅な伸びは、株式相場の推移を見ると納得がいきます。 東証1部の「1日平均売買代金」を見てください。これは、その月に成立した株式の売買の総額を1日当たりの金額に平均した数字で、株式市場の活況の度合いを表しています。これが大きいほど、株式が活発に売買されているということです。

「1日平均売買代金」は、今年4~6月は3兆円からピークは日によっては4兆円まで増えていました。ところが、昨年4~6月は1兆2000億円前後で推移していたのです。株式市場がかなり冷え込んでいた時期だったことがわかります。

つまり、今年4~6月は、前年同期と比較すると3倍ほども取引量が増えていたのです。特に4月から5月22日までは大相場でしたから、各証券会社はこの間にかなりの収益を上げていたのではないでしょうか。

ここでもう一度、野村證券の損益計算書に戻りますが、営業収益の中でも特に「受入手数料」が大きく伸びていたのは、これが理由です。「トレーディング費用」よりも受入手数料の方が、圧倒的に大きくなっていますね。

また日経平均株価も、前年4~6月は特に安値となっており9000円前後で動いていました。そして今年4~6月は過熱のピークを迎えて1万4000円前後まで上昇していましたから、5000円近くも差が開いていたことがわかります。この数字からも、業績の改善幅が広がった理由が読み取れます。

次ページ以前ほど、証券会社の株価に勢いはない
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