銀行VS.証券、金融最終サバイバル決戦へ 投資非課税制度(日本版ISA)新設で始まる口座獲得競争

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14年開始の日本版ISA。銀行と証券の戦いが始まる(三菱東京FG、撮影:吉野純治)

日本版ISA。2014年1月から開始される新たな個人向け投資非課税制度の仮称である。一説によれば、同制度導入を契機に最低でも25兆円の個人マネーが動き出すという。この獲得に向けて、近年、長い凪のような話題性に乏しい状態にあった個人向けリテール市場が一挙に熱を帯びることはまちがいない。

銀行、証券会社による個人投資マネー取り込みの最終的な覇権争いにも発展しかねず、それを通じて、今後のわが国の金融資産構造、金融競争のあり方、さらには経済成長の行方に大きな影響を及ぼすポテンシャルすらある。

過去の「マル優」時とは、次元の異なる競争

「過酷なレースが始まる」

日本版ISAの導入を展望して、ある大手銀行の幹部はこのような近未来予想図を描く。過去にも預金、ローン、投信等々、金融商品の販売競争は繰り広げてきた。

だが、今回は「次元が異なる闘いとなり得る」とみているからだ。

そもそも、金融分野では久方ぶりの国民的な非課税制度の導入である。高度経済成長期における国民皆制度と言える貯蓄奨励策、「小額貯蓄非課税制度」(いわゆるマル優)が一部の対象者を除いて廃止されたのは1987年。その後、時限的な減税措置が導入されることがあっても、それらの多くは貯蓄に対するものではなく、ローン減税など大衆の消費を促すためだった。

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