バルミューダ寺尾玄「もうNIKEしか履かねぇ」 熱き「家電の風雲児」が思わず宣言した理由

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ただ、人を好きでなければ、人の役に立とうとは思わないかもしれない。つまり、ビジネスをやるうえで一番重要なのは、人間が好きということ。そして、人間をよく知ること。私も、もちろん商品についても考えますが、それ以上に「なぜ今、おいしいって言ってくれたのかな」とか、人についていつも考えています。

もっとドッグになれ

――寺尾さんのように強い想いで起業する人は、これから増えるでしょうか。

戦後の荒廃の中、日本では多くの企業が生まれ、急成長しました。ホンダの本田宗一郎さん、パナソニックの松下幸之助さんなどの創業者は、誰もがシュードッグだと思います。創業者は会社がゼロだったときを知っていて、何かあってもゼロに戻ればいいと思える強さがあった。でも創業者が去り、経営者が代を重ねると、ゼロに戻す恐ろしさを感じるのではないのか。創業者ではない難しさが出てくると思います。

実際、日本でも「大企業に就職すれば安泰」という考え方が通用しなくなってきている。そうなると、「どうせやるなら、起業して面白いことをやったほうがいい」「もしかしたら、自分が世界を変えることができるかもしれない」と思う若者が増えてくると思います。アップルやナイキを創ったシュードッグたちが、本当に世界を変えたことを見せてくれていますから。

今の若者は負けん気がないと言う人もいますが、私はそうではないと思う。現代の日本では衣食住が足りていて、ラクに生きることができる。けれど、そういう生活ができるようになったのは、ここ200年くらいの話で、それまでは生きることに膨大なエネルギーが必要だった。だから、現代の人間は本来使うべきエネルギーが有り余っているはずなんです。たまったエネルギーは放出せざるをえませんよね? それが犯罪や戦争など、悪の方向にいくこともありますが、起業するためのエネルギーにもなる。「ずっと安定」という状況が崩れている今こそ、起業する土壌ができたとも言えます。

『シュードッグ』を読んで、自分がシュードッグタイプだと思った人には、起業を勧めます。この本には、シュードッグタイプの人間にこれから起こること、そしてそのときにやるべきこと、つまり答えが書いてある。すごく参考になると思います。シュードッグタイプではない人でも、ピンチのときの考え方や自分の力の出し方のヒントを得られるのではないでしょうか。

こんないい手本、教科書があるのだから、ぜひ参考にして一歩を踏み出してほしい。みんなにこう言いたいですね。「もっとドッグになれよ」と。

大内 ゆみ ライター

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おおうち ゆみ / Yumi Ouchi

ライターとして、主に看護、健康情報や芸能人、文化人のインタビュー記事の取材・執筆を行う。編集者として、パソコン雑誌や看護雑誌を手がける。

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