バルミューダ寺尾玄「もうNIKEしか履かねぇ」 熱き「家電の風雲児」が思わず宣言した理由

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「みんなに言いたい。信念を貫けと」

これを読んだときに、自分も信念を貫いてここまできたんだ、という思いが溢れてきました。

気が強い「ポジティブ」は最強

――起業家として心に刺さる部分が多かったと。

寺尾 玄(てらお げん)/バルミューダ創業者。1973年生まれ。17歳のときに高校を中退し、海外放浪の旅に出る。スペイン、イタリア、モロッコなど地中海沿岸の国々を巡り、帰国後、音楽活動を開始。大手音楽事務所との契約、破棄を経て、ロックバンド「Beach Fighters」を結成。約9年にわたり活動した後、2003年、有限会社バルミューダデザインを設立。デスクライトやノートPCの冷却台の製作・販売を手がける。扇風機「GreenFan」が爆発的ヒット製品となり、2011年、バルミューダ株式会社に社名変更。著書に『行こう、どこにもなかった方法で』(新潮社、2017年)がある(撮影:梅谷 秀司)

会社を経営していると、年中、予想もしていないことが起きます。フィル・ナイトもそうでしたね。だから経営者としては、ピンチのときにどう考えるかがとても重要なんです。ナイトは、オニツカから契約を打ち切られたとき、仲間の前ですごい演説をします。「むしろ望む地点にたどり着いた」と言い放つ。社員の誰もが沈んでいるのに、彼だけがピンチをポジティブにとらえている。私も倒産寸前のときに「まだ会社は生きている」と考えていました。

ピンチのときに悲観せず、楽観的でいられるのは、ポジティブだから。要は自分にとって都合よく考えているだけなんです(笑)。この本では、ナイトは都合よく考える名人だなと感心するところが、いくつもありました。だからこそ彼は数々のピンチを乗り越えられた。次々襲ってくる出来事をポジティブにとらえるかそうでないかによって、道を切り開くための対応策が変わってきます。それが企業の生死を分けると思うんです。

あと、ナイトはすごく気が強いですよね。気が強いから、ピンチのときも自分の失敗や負けを認めたくない。気の強さは、負けん気の強さともいえます。負けたくないから、自分に都合のいいように考えるんです。彼はポジティブさに気の強さが合わさっているから、ピンチのときの突破力が半端なく強い。私は以前から、気の強さとポジティブというのは、すごく相性のよい性質で、リーダーや起業する人にとってはとても重要だと考えていました。この本を読んで改めて、そう思いました。

私も負けるのが一番嫌いです。性格も考え方もフィル・ナイトと似ているんです。『シュードッグ』の翻訳が出る前に、私も『行こう、どこにもなかった方法で』という自伝を出しましたが、『シュードッグ』と似ているところが多くて驚きました。構成や文中のフレーズ、はたまた借金の仕方とか(笑)。だからこそ、この本には共感しまくりでしたね。

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