「後発だった」ナイキがトップになった理由 ABCマート社長「革新し続ける頑固者は最強」
新しいことはナイキから始まる
――現在のスニーカー市場でのナイキの存在感を教えていただけますか。
ナイキとアディダスが2強で、現在、ナイキがトップです。それぞれのメーカーごとに個性がありますが、ナイキの個性は「革新性を重んじる」というところでしょうか。ナイキは機能だけでなく、「味付け」が特にすばらしい。
たとえば、シューズのサイズは通常、25.5センチとか、26.0センチとか、0.5センチ単位で展開されます。ところが以前発売されたナイキのプレストというシューズは、アッパーに伸縮性があって、XS、S、M……といった洋服のようなサイズで展開され、驚いた覚えがあります。スウェットのような素材で、「スニーカーを着る」といった感じでした。
また、近年ではシューズのアッパーの大部分を1本の糸で編み上げたフライニットというニット調の新素材を開発しました。今では、売れているスニーカーはこのようなニット調のアッパーが主流になっている。こうした独自の「味付け」を世に放ち、先駆者になっているのです。
製品だけでなく、ビジネスの仕組みにおいてもそうです。『シュードッグ』の中にもフューチャーズ・プログラムの話が出てきます。私たちのビジネスには、納品の約1年前に開催する展示会などで小売店がシューズを発注するフューチャーオーダー制という仕組みがあります。これを最初に取り入れたのはナイキです。「新しいことはナイキから始まる」。そんな感がありますね。
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