「ダラダラやる子」を劇的に変える時計活用法 時間管理が自分ででき、学力もアップする

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そして、「用意、ドン」と始めたら、ものすごい集中力を発揮してあっという間に終了。なんと、タイムは1分30秒。Eさんが「すごいじゃん」と褒めると、子どももうれしそうな様子。丸つけをしてみると全問正解。Eさんが「はい、満点で25点ゲット」と言うと、「やった」とまたうれしそうです。

さらに、「次の5問はどうかな? 第2ステージだよ。新記録が出るかな?」「待って、待って……。はい、いいよ」「用意、ドン」ということでやってみると、今度は1分20秒であっさり新記録の達成。ところが、丸つけをしてみると1問間違えていたので、新記録は取り消しに。ここで親子で大いに残念がったのですが、何とも言えない一体感を感じたそうです。

そして、この調子で第4ステージまで進み、その後は毎回新記録が出て、しかも毎回満点。合計得点は95点ということになりました。かかった時間を合計すると全部でたったの5分17秒でした。

よかったことを言語化することが大事

そこで、Eさんは「あなた、すごい集中力があるね」と褒めました。すると、子どもも「えへん」という感じでうれしそうな様子。実は、こういうひと言が非常に効果的です。これによって「集中力って大事なんだ。自分は集中力があるんだ」というよい思い込みができるようになるのです。このように、子どもの頑張りに対して、何がよかったかをはっきり言語化してあげることが大切で、これを教育の専門用語で「価値づけ」といいます。

これをきっかけに、Eさんはストップウォッチの活用に目覚め、いろいろな使い方を工夫し始めました。計算ドリルの次に取り組んだのが通信教材です。これは計算ドリルのように似たような問題がたくさんあるわけではないので、Eさんは問題の数で区切っても意味がないと思いました。そこで、「この子の集中力は5分くらいしか続かない」とわかっていたので、蛍光マーカーを使って5分でできそうな量ごとに枠で囲みました。そして、実際にやらせてみると、予想が外れて5分よりかなり短い時間でできたり、逆に時間がかかったりすることもあるそうです。でも、子どもは以前よりはるかに集中するようになりました。

このように、Eさんは、通信教材をやるときしばらくはストップウォッチを使っていたのですが、あるとき思い立ってタイマーを使ってみました。というのも、通信教材ではいろいろな種類の問題が出てきて、難易度も違うので、「新記録を目指すというのはちょっと違うかな」と思ったからです。それより、「1つのステージを5分」という目標タイムを決めてあるのでタイマーのほうが向いているのではないかと考えたのです。そして、タイマーを使ってみての子どもの感想は、「ストップウォッチより緊張する」とのことでした。

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