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「二流の乗客」と「二流の運転手」がいる
「あ、ここで停めてください。メーター切って。うぁー待て待て待て待てっ‼ 今メーター90円上がったやろ? ワシはこの90円、払わへんからな~~‼」
世の中には、タクシーに乗った途端、「二流の本領」を発揮する人たちがいる。
タクシーに乗ったかと思えば、道順をひたすら指定して運転手さんをイライラさせる二流の乗客たち。さらに、「景気どないでっか」と経済情勢の調査を始めたり、「運転手さん、前はどんな仕事してたの?」と個人的な詮索を始めたりするのだから、はやくも三流エンジン大全開である。
これに対し、一流の人物は、タクシーに乗っても一流である。「ニューオータニガーデンコートまでお願いします」と、行き先も高貴な響きがするのは当然のことながら、自分がいかに偉かろうと運転手さんに丁寧な「ですます調」で敬意をもって接するのである。
降りるときは、90円ほどの小銭をチップにするのはもちろん、支払いが1620円のときも2000円を渡して380円をチップにするのだから、そこに「一流の神髄を見た」といえるだろう。
「学歴の高さや頭のIQ」と「タクシーに立派に乗れるかどうか」は関係がない。世の中には、タクシーに乗った途端、その人の「人間的失格ぶり」「人格的破綻ぶり」がこのうえなくにじみ出てしまうものである。
それでは、タクシーに乗った途端、赤裸々にバレてしまうその人間的欠陥ぶり、人格的故障の実態とはどのようなものなのだろうか?
タクシーでの「二流ドラマ」は、運転手さんと乗客の双方から繰り広げられるため、双方にまんべんなく視点を向けながら、早速、紹介していこう。
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