「オレ自慢」が近年増殖するのにはワケがある リアルでもネットでも"アピール"する男たち

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わざわざ自分は他人とは違う優れた人間だと主張しなければならないのは、自信があるからではありません。逆に、“自信のなさの表れ”です。本当に自己肯定感が高いなら、自分のすごさを他人に確認する必要はありませんし、攻撃的にもならないでしょう。

問題の背景には、男性は子どもの頃から、競争するように「あおり」を受けてきた影響があります。高度経済成長期以降の日本では、「いい学校を卒業して、いい会社に入り、幸せな家庭を築く」ことが競争のゴールとして設定されてきました。しかし、競争ですから、誰もがこの目標に到達できるわけではありません。受験で勝っても、就活でふるいにかけられ、入社後は出世レースが待っています。恋愛結婚が普及した現代では、男性にとって結婚もまた「若く美しい女性」をめぐる競争です。

これまで、女性には理解できない「自分はすごいアピール」は、競争に負けた男性の腹いせという側面がありました。勉強で落ちこぼれた中学生が、不良になって自分の価値を認めさせようとするのと同じです。このような理屈は意味がわかりやすいものだと思います。しかし、最近では、ニュースサイトのコメント欄に見られる攻撃的な意見もその典型かと思いますが、それなりの会社に勤め、肩書も収入も十分と想像される男性たちにも、謎の「俺はすごいアピール」が広がっているようです。なぜでしょうか。

自分の存在価値を脅かす潮流

この新しい傾向を生み出しているのは、企業における女性活躍、イクメン、そして、ダイバーシティを推進するための取り組みでしょう。

まず、女性活躍から説明していきます。男女雇用機会均等法が施行されてからも、相変わらず、女性にとって結婚、妊娠、そして、出産は就業継続の壁となってきました。

フルタイムの共働きが一般的になっているというイメージとは異なり、現実には、2010〜2014年の5年間で、第1子出産後に復職した女性は約40%にすぎません。加えて、総合職と一般職の区別がある日本の企業では、これまで、一般職の女性社員は出世の見込みがほとんどない存在でした。

2010年代の半ば以降、女性活躍推進が社会的課題として急浮上し、女性の就業継続と管理職への登用は、どの企業にとっても無視できない問題となります。男性社員の立場からこの流れを見ると、競争相手として考えていなかった女性が、同じ土俵に乗り始めているということです。女性差別が根強く残る日本で、男女平等を進めようとすると、男性は自分の領域が「不当」に侵されたような気持ちになります。だから、自分が何年も待っていたポストに女性が登用されて、「逆差別だ!」と怒る男性が出てきます。

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