大前研一「20世紀の人材観が会社を滅ぼす」 カリスマコンサルが語る「本当に欲しい人材」

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カリスマコンサル・大前研一氏に21世紀の人材戦略について聞く。(写真は2014年、撮影:吉野純治)
松下電器産業(現パナソニック)の松下幸之助氏やソニーの盛田昭夫氏、中曽根康弘元首相、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相など、世界の政財界トップに対して長年コンサルティングとアドバイスを行ってきた大前研一氏。
大前氏は、「21世紀の人材戦略は、20世紀とはまったく異なる。それは、少子高齢化による国内市場の縮小、欧米や新興国企業との競争の激化、破壊的イノベーションを容易に起こすことのできるスマートフォンなどのテクノロジーの登場など、ビジネス環境が大きく変化しているから」という。
IT、AIの全盛時代を迎え、さらに終身雇用・年功序列が崩れた今、求められる人材の要素はこれまでと大きく異なってくる。近著『大前研一 デジタルネイティブの育て方』から21世紀に必要とされる人材の育成法について、大前氏が大胆に予測、提言する。

スマートフォンが、まさに世界を変えた

産業における20世紀と21世紀の最大の違いは何か。それは、国境の消滅だ。これは技術と人の両方に大きな影響を与えている。技術に関しては、21世紀になって誕生したスマートフォンが、まさに世界を変えたといっても過言ではない。

世界中の数十億人が肌身離さず持っているスマートフォンのОSは、ほぼアンドロイドとiOSの2つである。たとえば電話なら、従来は国や地域ごとにシステムが異なっていた。だから、世界で電話網を使ったサービスを提供する場合は、いちいち仕様を変更するなど、国や地域別に戦略を考えなければならなかったのである。

ところが、現在、その必要はなくなった。UberやAirbnbが行っているように、ひとつのシステムで世界中のオペレーションができてしまう。スマートフォンのエコシステムにおいて国境は関係ないのである。唯一、言語の問題は残っているものの、世界でビジネスをするのにもう戦略はひとつでいい。逆に、20世紀のように国別戦略などやっていたら、時間がかかりすぎて競争に勝てないのだ。

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