「カネだけが評価基準」を打破するVALUの哲学 小川代表「ヒカル氏は将来戻ってきてほしい」

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ただ、VA発行後の一斉大量放出の計画についてはまったく知りません。もし知っていたら、確実に事前に止めていた。本人たちは、大量売却をすると市場で損をする人が出るということがわかっていなかったようです。

――VALUとしては大きな悪影響を受けたと思いますが、ヒカル氏らに対してどのような感情を抱いていますか。

本人たちにはしっかりと復帰して、また将来はVALUに戻ってきてもらいたいと思っています。私だってこれまでさんざん失敗してきました。彼らは活動停止という形で社会的制裁も受けているし、1回失敗したくらいで社会的に抹殺することはよいと考えていません。

規制は必要だが、自由を殺したくない

小川晃平(おがわ こうへい)/慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科卒業後、株式会社グリーに入社。2012年より、グリー米国支社に赴任し、全米3位のモバイルゲームのリードサーバーエンジニアを務める。帰国後、ホテル予約サイトなどの新規事業を牽引し、退社。退社後は、フリーランスのエンジニアとして、複数の新規事業を立ち上げる。その後、AccumBitを創業し、Bitcoin・Blockchainを用い、サービスの開発を進める。2016年12月、株式会社VALUを創業(撮影:尾形文繁)

今のVALUには抜け道が存在していることは事実で、それは問題だと把握しています。株式の世界もルールが整備されてきたのもここ最近で、20年前とかインサイダーとかも完全に規制できていなかった。われわれも新しいツールを発明した立場から、使い方をもっと積極的に発信して広めていく責任があると思います。

ただ、今後はルール作りを厳格化していくことはありえますが、自由度を下げてしまうと創造性も働かなくなるので、今は、何がいいことで、何が悪いことなのかを議論してほしい。

――VALUの今後の展開は?

グローバル展開とアプリのリリースが主軸になります。ビットコインのハードフォークが11月18日にあるので、その後にアプリを出したいと考えています。

今はブラウザしかないのですが、アプリが出ればこれまでとは違うユーザー体験があるはず。グローバル展開は、このままのUI、UXでもアジアは行けると思いますが、ヨーロッパやアメリカに行くならまた一工夫する必要があります。「優待」という概念などは日本独自の慣習なので、そうした点を現地の人に理解させるためにはどうすればいいか、模索が必要だからです。

――InstagramやTwitter、FacebookのようなSNSになることを目指す?

LINEのように、名前と顔のわかる親しい人とクローズに遊ぶサービスと、InstagramとかTwitterといった、フォロワーが必ずしも顔見知りでないサービスの中間くらいの存在を目指したいですね。友達のように親しいわけではないけど、匿名のフォロワーでもない。その人にとっての「スペシャルなファン層」がついている状態をSNSで再現したい。

VALUは人間というふわっとしたものを価値の対象に置いていて、価値の定義が広義すぎるのは確かで、そこはサービスとして吉と出るか凶と出るか。何事もそうですが、人間に委ねるとどうなるか先が読めない面がある。VALUの目指す評価経済の実現は簡単ではないと思います。うまくいくかどうかは、未来に飛んでみないとわからないですね。

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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