「カネだけが評価基準」を打破するVALUの哲学 小川代表「ヒカル氏は将来戻ってきてほしい」
現地には「俺は100億円で会社売ったぜ。すごいだろう」みたいな人が結構いるわけですが、サービスの中身を見ると、特に世の中にインパクトを残すプロダクトを作ったというわけではない。キャッシュが100億円余っている会社が、「節税のために100億円で会社買っておこうか」といった形で、税制の仕組みだけで会社が売れてしまうこともあります。
世の中に対していいことも悪いこともしていないのに、どうしてその人は巨額の富を得られるのか。それは、やはりまだ世間では「おカネを稼ぐ」ことが価値の絶対的な尺度になっているからだと思います。もちろん、こういうことが明確に悪いとまでは思いません。けど、やはりモヤモヤとした疑問は抱きますよね。経済的にはペイしなくても、世の中に対していいことをした価値はどう評価すればいいのか。たとえばCSR(corporate social responsibility:企業の社会的責任)を価値評価することも、今は難しい。
自分の価値とは何か、VALUを通して知る
――具体的にどのような価値があるのかわからない人もどんどん上場していますが、審査を厳格に行う方針にはしないのでしょうか。
価値が明確でなかったとしても、あえて制限をかけず発行させていますが、これは意図的にやっています。なぜなら、「自分の価値ってそんな簡単にわかるものなのか?」というメッセージを伝えたいから。自分自身をVALUに上場させることは、それを考えるいい機会になるはずです。
VAを買ってもらうためにいろいろ苦しみながら考えて、自分の価値を出す取り組みをする。結果としてVAが売れ、自分の価値が世の中に認められる。就職活動とかと同じで、これって人生っぽいじゃないですか。Web 上でこうした動きが再現できるようになっているのは、個人的にはすごく楽しい。
――ビットコインをユーザーから調達しただけで、その後は特に何の活動もせずバリューを出していない人も少なくありません。こうした人たちにどういう思いを持っていますか。
VAを発行した人が、ユーザーから「ビットコインをもらうだけで何もしなくて構わない」と認められるなら、それはそういう評価でよいと思います。人間性も含めて、価値なので。ただ、人からおカネを調達するということ、その後どういう評価になるのかということ、そこはしっかりと受け止めてやっていただきたいと最近は考えています。
――8月には、ヒカル氏など複数の著名YouTuberが起こした「VA大量売却」事件も、多数のメディアで取り上げられて注目されました。彼らは、VALU側からアドバイスを受けていたと主張しています。
VALU側から直接YouTuberたちにアドバイスしたことはありません。間に入った事務所の関係者から「自社のYouTuberをYouTube以外のプラットフォームで活躍する場を作りたい」という相談があり、「こういう優待は機能するか?」といった質問がありました。これに対応するなどして、彼らがVALUを始めるにあたり、会社として一部協力していた部分があることは事実です。
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