日本株が解散総選挙後も上昇する条件とは? 安倍首相の「ホンネ」はどこにあるのか

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安倍首相の発言などから明らかになっている、今後の経済政策の考え方は、(a)「全世代型」へと社会保障制度を見直し(具体的には幼児教育無償化には教育国債発行などの財源手当を検討)、(b)消費増税については予定どおりの実施を考えている、という点である。

「基本は消費増税でも経済状況次第で延期」がホンネか

一方で(a)と(b)を結びつける発言は、現状では匿名ソースの観測報道でしか指摘されていないように思われる。なお、19日に行われた菅義偉官房長官の定例記者会見では、「消費増税分の使い道」を見直す点について質問を受けた際、「見直すも見直さないも、まだ何も決めていません」と述べている。

またこれに関して、政府がプライマリーバランス(利払いを除いた基礎的収支)の黒字化目標を、2020年から2020年代に先送りするという複数の報道がある。これらについても信ぴょう性は定かではないが、もともと内閣府が示す最新の中期財政計画では2020年の財政赤字が想定されており、それを追随するというだけにすぎない。6月19日コラム「安倍政権は再び財政拡大策に踏み切るか」でも述べたが、安倍首相は「日銀保有の国債無効化」を唱えるジョセフ・スティグリッツ教授の意見を理解しているとみられ、さらに債務残高GDP比率を新たな目標として掲げたことを紹介した。もともと、2020年までにプライマリーバランスを黒字化することは経済的にはまったく意味がないのだから、経済情勢に応じて財政政策を柔軟に運営する意思を安倍政権が持っていることは、すでに想定されていることである。

なお、経済財政諮問会議の民間議員をつとめる伊藤元重学習院大学教授は19日のインタビュー記事で、消費増税について「選挙戦の中でどういう駆け引きがあるかというのはひとつの大きな注目点」「基本的には増税路線だが、経済状況次第では延期もあるという今の立場を安倍首相は維持するだろう」と述べている(ブルームバーグより)。こちらのほうが、消費増税について安倍政権の現段階のスタンスを正確に表している、と筆者は判断している。

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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