9月中旬に安倍晋三首相が解散総選挙を決断してから、日本の政治の景色は大きく変わった。安倍首相が解散を表明した9月25日に、小池百合子東京都知事も希望の党を正式に立ち上げた。「安倍vs小池」が衆議院選挙の主軸になる情勢になると、前原誠司代表率いる民進党が希望の党に合流するというまったく予想外の展開となった。
だが、政治信条が異なる政治家がすべて合流するまでには至らず、最大野党だった民進党が事実上分裂。「自民党+公明党連立」「希望の党+日本維新の会」「立憲民主党+共産党など」という3つの軸で10月22日に総選挙が行われる見通しだ。
安倍政権を脅かす情勢には至らない
安倍vs小池の対立構図のみであれば与党が議席を大きく減らすリスクは無視できなかったところだが、希望の党は反安倍勢力を一枚岩にすることはできなかった。110人ほどの民進党議員を主体として、200人程度という一定規模の立候補者をそろえたが、安倍政権を脅かす情勢には至らないように思われる。
ただ、新たにできた希望の党と立憲民主党が掲げる政策については、憲法改正の是非に対する見解が異なるのは確かであり、国民にとって1つの判断基準ができたことは望ましい。本来国政選挙とは、政党が主張する政策が国民にとって有益であるどうかを競う重要な機会である。今回の民進党をめぐるドタバタは、国会議員が自らの政治信条を基に真剣に政策立案を行っているかについて、明らかにしてくれたのではないか。
小池都知事が、迷走していた民進党を事実上解体に追い込んだのはサプライズだったが、突然の総選挙を前に、政治的に追い込まれた帰結の側面が大きい。振り返れば、2009年に政権を獲得した民主党は約3年間も国政を担ったが、2012年に政権を失ってからわずか5年弱(民進党含む)で大きな政治勢力が消滅しつつある。
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