9月中旬から、日本株市場で株高が続いている。米国株市場でじりじりと高値更新が続く中で、2017年初からの米国株対比での出遅れを縮小させながら、10月に入ってからは日本株の上昇ピッチが早まっている。9月は為替市場でドル高円安が進んだことが株高をもたらしたが、10月に入ってからは円高が進んでも、日本株市場が上昇する「日本株の為替離れ」の動きすらみられる。今後この為替離れが常態化すると筆者は考えていないが、株式市場の強さを示す兆候の1つである。
日経平均よりもTOPIXが日本経済の実態を反映
10月12日に日経平均株価は21年ぶりに2万1000円台に達し、メディアでも大きく取り上げられた。ただ、指数の継続性の観点でより信頼性が高いTOPIXは10月20日時点では1700台前半で推移。2000年2月(1754ポイント)、2007年2月(1816ポイント)の高値を超えるには至っていない。つまり、平成初期の歴史的バブル崩壊後の長期的な大底からの2回のリバウンドでの天井圏でつけたTOPIX1700~1800台に、再び足を踏み入れてきたというのが、現時点のより正確な位置づけだろう。
今後1カ月ほどの期間のうちに一段の株高となるかは、米国市場の株高が続くかどうかに依存する側面が大きいとみる。ただ、2013年から安倍晋三政権による脱デフレを目指す経済政策が、2018年以降も徹底されれば、来年にはTOPIXベースでも2007年の高値超えが実現しても不思議ではない。
日本経済の「長期デフレ」「失われた20年」からの脱却は、適切な金融財政政策運営によって実現可能と筆者は常々考えている。その帰結として、日本株市場が2007年の高値を超え、その後、歴史的バブル崩壊の直後時点の1992年と同様の水準を新たなターゲットとして上昇しうるということである。
すでに米欧など多くの先進国では主要株式市場は、2008年のリーマンショックを乗り越えて、史上最高値更新が続いている。過去30年弱もの株式市場の長期下落を経験したほとんど唯一の国が日本である。これはいくつかの要因で説明できるが、デフレを伴う経済の「パイ縮小」が永続するという投資家の予想が、最も大きな要因と筆者は考えている。
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