9月は外国人投資家が日本株を買ってくる? 過去2年とは違う動きになる可能性がある
「東アジア有事の円高」は基本的におかしい
北朝鮮のミサイルが頭の上を飛んでも、水爆実験があっても、日本株は大崩れしていない。売り方のヘッジファンドは手詰まり感からまったく動けず、4月から売り続けた個人投資家の玉も尽きたようだ。市場では、下を売る投資家がいなくなったと言われている。そうは言っても買い方も日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)だけだと言われ、日経平均株価は200日移動平均線(1万9380円前後)を先週は下回ってしまったが、11日の大幅上昇で再び上回った。
ドル円相場においても、重要なポイントであった4月の1ドル=108円10銭、7月の日銀短観における大企業製造業想定レート108円31銭をこえる107円台となったが、11日は108円台を回復した。
そもそも、北朝鮮リスクの矢面に立つ円がなぜ買われるのか、「基本的におかしい」と考える投資家も多いと思うが、「短期的」に有事の円高になる理由は明白だ。
専門家の解説をまとめると、以下の3つになる。①対外資産世界一の日本企業が、国内の混乱に備え資産の一部を売って円を手元に置こうとする行為(レパトリエーション)への思惑。国内的にも有事の現金化で株売りとなる②今の商品ファンドのアルゴリズムシステムに「有事の円買い」がセットされている③低金利の円で資金を調達して運用(円キャリートレード)しているグローバルファンドが多いので、有事のリスクオフのポジション縮小で円を買い戻すから、というものだ。
だが、こうした説明は、筆者も基本的におかしいと思っている。有事の円高はあくまでも短期的現象であって、大きな流れは円安だ。1970年に初めて日本の人口が1億人に乗せた時、ドルは360円だった。再び1億人に戻る2050年に、ドルも360円に戻ると考えている。もちろん、これほど長期で見ることもないが、日本の金利メリットがなくなって円キャリーが縮小した暁には「日本有事は円安」になるはずだ。この変化が突然起こるのではなく、長い時間をかけて織り込まれていく。それを試す1つの時が今回だと思う。「有事の円売り」の芽が、今の「有事の円買い」にどのように織り込まれるのか、ここはしっかりと見極めたい。
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