日本株下落の懸念要因は北朝鮮だけではない 核実験で4日以降の相場はどうなるのか
日本株の「調整入りシナリオ」は変わらず
8月21日に配信した前回記事「米国株の本格的下落が始まったかもしれない」では、日本株は短期的な戻りはあるものの、すでに天井「圏」を形成した可能性が高く、9月以降から年末辺りまでは本格的な下落となる、との見通しを述べた。その後、北朝鮮が弾道ミサイルを発射、9月3日には、ついに同国による6回目の核実験が行われたが、筆者の見解は基本的に全く変わっていない。
日本株の下落を見込む背景要因には、日本発の悪材料はない。日本企業の収益は堅調で、それに対して株価の割高感は乏しい。調整要因は、米国発だ。根本には、現時点の米国株価が予想PER(株価収益率)などでみて高すぎる、という点がある。
これは、昨年の大統領選挙来の、ドナルド・トランプ政権への誤った期待が今でも残存しているからだ、と判断している。その期待が決定的に打ち砕かれ、買われ過ぎた米国株価が大きく下落し、それに連れて米ドル相場が下押しする、と見込んでいるわけだ。それが日本株の悪材料となる。
では米国の政策期待に対する剥落はいつ始まるのか。それは、9月に夏季休会が明けた米議会が、予算案(米国では予算は複数法案の集まりで、日本の予算案に厳密な意味で相当するものはないので、予算全般についての「予算決議」と呼ばれるもの)策定にとりかかることで生じる。
もともと議会共和党は財政赤字の拡大に対して警戒的で、たとえば連邦法人税(国税の分の法人税)については、トランプ大統領は現行の35%から15%への引き下げを公約としていたものの、共和党は20%までにとどめるよう主張していた。
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