日本株下落の懸念要因は北朝鮮だけではない 核実験で4日以降の相場はどうなるのか

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ただ、この法人税引き下げは、代替財源が得られるとの見込みに基づくもの。代替財源として、オバマケアの改廃による支出削減と、いわゆる「輸出税」(法人税の国境調整、輸入業者にとっては増税となる)の導入が、期待されていた。

しかし両案とも議会が断念したため、有力な法人減税の代替財源は失われた。米国株価に強気説を唱える一部の向きは、「法人税引き下げはたとえ25%だとしても、ないよりは良い」と強弁を続けているが、ワシントン筋からは「30%、いや32%、もしかしたら34%にしか下がらないかもしれない」と、なかば皮肉と冗談が入り混じったような軽口も聞こえてくる。

こうして減税もインフラ投資も、ほとんどないようなものであることが明らかになることで、米国株価の価格調整が進むだろう。それに9月の材料としては(実態面ではそれほど騒ぐ必要はないが)、債務上限引き上げ問題と、米連銀による量的緩和縮小に対する懸念が乗る形で、米国発の世界的な株価調整が想定されるわけだ。

米国の実体経済にもリスクが?

こうしたシナリオの根底にある考え方は、日本の経済実態にも米国の経済実態にも問題は見出しにくいが、米国株の買われ過ぎが解消される必要があり、それが米経済政策に対する失望が引き金で生じる、というものだ。

ところが、足元の米国経済をみていると、まだメインシナリオになるとまでは言い難いが、「怪しい雲」がじわりと広がりつつある。米国の従来からの景気のけん引役は、内需だった。

前週末9月1日(金)発表の8月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びは前月比で15.4万人増にとどまり、市場の事前の期待を下回った。それでも、為替市場などでは「底固い」との評価が広がり、一時下振れした米ドル相場も短時間で元に戻った。米国経済は長い目で見た雇用の堅調さに支えられ、これまでは家計の収入が改善し、個人消費や住宅投資が拡大していった。これに今年からは、世界景気の回復に伴う米国からの輸出増が追い風となり、外需製造業の持ち直しが、鉱工業生産の回復という形で景気回復の立役者に加わっていた。

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