日本株下落の懸念要因は北朝鮮だけではない 核実験で4日以降の相場はどうなるのか

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さて、最後に日本株の市況展望を考えてみよう。まず3日(日)午後に北朝鮮が実施した核実験を、市場がどう受け止めるかが不透明だ。8月29日(火)早朝のミサイル発射と同様に、短期的に円高と日本株高が生じるが、すぐに相場が戻すのだろうか。

また「すぐ戻した」という経験を踏まえて、今回は株売りや円買いがそれほど生じないのか(いわゆる「北朝鮮慣れ」?)、それともミサイル発射から、さらに核実験に踏み出したということは大いに懸念すべきとの見方が広がり、日本株安が先週よりも長く続くのか、目先の相場は全く読めない(「馬渕さんは、今週の相場は全然わからないのですね」と言われれば、その通りだ)。

相場は北朝鮮の核実験をどう受け止めるのか

前述した米国の政策失望については、米議会がレーバーデーの祝日明けの9月5日(火)から再開されるが、いきなり予算案が具体化するわけではない。暫定予算策定や債務上限引き上げの期限も、9月末がメドであり、9月に入ってすぐに市場の懸念が一気に増幅することもないだろう。その点では、米国の諸材料は、今週というよりは数週間先のことだ。

ただし要注意なのは、ハリケーン「ハービー」の影響だ。現状では、被災地域の支援・復興のための予算が財政を一段と圧迫し、債務上限引き上げ問題を一段と難しくさせる、という見解が優勢だ。

しかし一部では、このハリケーン被害を「国難」として、挙国一致で最優先課題として取り組む姿勢を示すべきだ、との声がワシントンで広がっているとも聞く。このため、大統領と議会共和党、民主党が協力して、債務上限を一定期間(たとえば1年間)凍結する可能性もささやかれている。

こうした決断が、数日中になされる可能性があり、その場合は債務上限問題がいったん雲散霧消したと解釈されて、目先米国株や米ドルが上振れする展開も否定できない。ただし、そうなるかどうかは極めて不透明だ。

とすれば、今週の日経平均の動向は、主に北朝鮮の核実験の受け止め方次第ということになる。週明け月曜日の9月4日には下に大きく株価が振れることが懸念されるが、その短期的な反動が大幅に生じる展開も否定できない(ましてや、もし米債務上限が凍結されれば、日本株の上振れも大きくなりうる)。今週の日経平均株価の予想レンジとしては、1万9400~1万9900円と、広く考えておきたい。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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