日本株が解散総選挙後も上昇する条件とは? 安倍首相の「ホンネ」はどこにあるのか

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ただ、自民党が勝利を収める可能性は高いと思われるが、現在の経済政策の枠組みが変わらないという観点では、選挙は大きなプラス要因とまでは言い難い。拡張的な財政政策が、脱デフレの勢いを強めることになれば良いが、その実現性については何とも言えない。また次期日銀執行部人事についても、それが判明するのは総選挙の後である。9月に入ってからの米国株高やドル高転換によって、最近の株高はほとんど説明できると認識している。日本株の行方は、引き続き海外情勢次第だろう。

なお、9月21日の日本銀行の政策決定会合から登場した片岡剛士審議委員は、「金融緩和が足りない」という理由で反対票を投じた。日銀による金融緩和政策が長期化する期待が改めて強まった。一方、先週FRBはバランスシート縮小開始を開始、そして年内に再び利上げする姿勢が全く変わっていないことが示された。日米の金融政策のスタンスの差は明確になっている。今後、仮に北朝鮮やトランプ政権に起因するリスク後退が続けば、2014年の秋口(日銀のQQE2+FRBのテーパリング決定)と時と同様に、ドル高円安が進みやすい環境になりつつある。

さて衆議院総選挙がある前提で、与野党の論戦はどうなるか。まずは国民を納得させる経済・外交政策を打ち出すことに失敗してきた野党が、次期政権として信任が得られる展開を、筆者には想像できない。前回のコラム「『前原民進党』の経済政策に期待できない理由」も含め、金融緩和批判など説得力がない主張に終始する民進党が、真っ当な経済政策を提示できていないことについては、繰り返し述べてきた。この状況は、現時点で変わりそうにもない。よってこれまでの国政選挙同様、「消去法的に」与党が勝利する可能性が高い。

与党が勝つとして、経済政策の中身は「官邸」筋から

これまでの報道を踏まえると、(1)北朝鮮への圧力強化、(2)憲法への自衛隊明記、(3)「全世代型」社会保障の導入、などが選挙の争点となる見込みである。これらについて、前原代表率いる民進党が自民党と対峙し、かつ国民を説得できる選択肢を提示できるのだろうか。前原民進党は、(1)、(2)について自民党の公約に対してどのように「対峙」していくのだろうか?

(3)の社会保障制度の拡充については、一部の経済メディアから、社会保障拡充と消費増税分の使い道をセットにする、という「政府関係者」が情報ソースとなっている観測記事が報じられている。

ただ、2016年半ばの拡張財政政策が決まる前の観測報道などが記憶に新しいが、霞が関が主たる情報源となるこれらの観測は、安倍政権が実際に打ち出す経済政策の予想には、あまり役に立たないというが実情である。現時点では、官邸からの発表や発言から、今後の経済政策を判断するのがベターと筆者は認識している。

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