「問題の棚上げ」が合理的と考えられる場合 「先送り」の意味:勝者と敗者のインセンティブは食い違う

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締め切り前の大慌て、そこから考えてみた

著者:安田洋祐(経済学者、政策研究大学院大学助教授) 撮影:尾形文繁

人は、好きなこと・楽しいことを早めにしたくなる一方、嫌なこと・苦しいことはついつい先送りしてしまうものだ。

たとえば、夏休みの宿題を、ギリギリまで手つかずで残してしまうように。かく言う私もその一人で、締め切り前にさっさと仕事を片付けてしまう、ということは、今でもまずない……。

夏休みの宿題や原稿執筆のように、「必ずやり遂げなければいけない期日」が設定されている場合、それを超える先送りはできない。

可能な場合もあるかもしれないが、罰や悪評など、ほかの問題が発生するので、あまり現実的ではないだろう。

いったん締め切りが決まると、どんなに嫌な作業や結果が待っているとしても、どこかで腹をくくらなければいけない。先送りには限界があるのだ。

では、期日が定まっていない場合はどうだろうか。

もし罰などのペナルティが発生しないのであれば、嫌なことはできるだけ先送りにするのがベストになる。

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