望ましい「先送り」、誰得?の望ましくない「先送り」
「今日こそは勉強しないと」
「今月こそは浪費せずに貯蓄を」
「今年こそはダイエットして理想の体型に」
と意気込んだものの、現状に甘んじてしまうのはよくある話。これは、嫌なことをずるずると先送りにするのが(少なくともその時点の)本人にとって望ましいことだからこそ起こるのである。
逆に言うと、苦痛を伴う作業を成し遂げるには、先送りを防ぐ仕組みが必要になってくる。たとえば、第三者に締め切りやそれを破った場合の罰則をきちんと設定してもらう、といった方法だ。
実際に、強制加入の年金や、積み立て型の保険などは、貯蓄の先送りを防ぐための有効な仕組みであると知られている。
また、これは個人の意思決定だけでなく、集団の意思決定にも応用できる。あるトラブルを解決するために二つのグループ間で交渉が行われているとする。
このとき、どちらにとっても利益が出る(現状と比べてよくなる)形でトラブルを解決することができるならば、交渉をまとめるのは早いほど望ましい。ウィン-ウィンの結果をあえて先送りにしたところで、誰も得しないからだ。
では、交渉の結果が、どちらにとってもマイナスになると予想されるときはどうだろうか。この場合には、先ほどの個人のケースと同様、できるだけ解決を先送りすることが全体にとって望ましい。
例として、国家間の領土問題を考えてみよう。
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