顧客からの不満の声にトコトン対応していく−−マイクロソフト社長・樋口泰行

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顧客からの不満の声にトコトン対応していく−−マイクロソフト社長・樋口泰行

--今後3年の中期経営方針として、「地に足のついた革新による確実な成長軌道の実現」を掲げました。抽象的に見えますが、具体的に、力を入れる改革とは?

マイクロソフトは、もともとパソコンから成長してきた会社です。「ウィンドウズ」や「オフィス」をあらかじめパソコンにインストールして間接的に売っていたのでお客様との直接の接点がないところから始まりました。そこから企業向けのビジネスを伸ばして今の姿になった経緯があります。

これが大きな成功を収め、大手顧客と直接やり取りする営業部隊は450名になりました。しかし、規模が大きくなれば、どうしてもお客様、パートナー様と距離感が生じてしまう。そこで、満足度を高めるために、どういった点に不満を持っているのか、しっかり感知できる体質に変えようと考えています。

マイクロソフトには3大クレームがあります。一つが品質、一つがライセンスの仕組みがわかりにくい、もう一つがテクニカルドキュメント(技術文書)がそろっていない、です。こうした声に対し、これまでも対応してきましたが、クレームの声は残っている。

そこで本当に改善活動をトコトンやっているのか、自己満足に終わっていないか、厳しくチェックすることにしました。品質については、チーフ・クオリティ・オフィサーを置いた。今までは責任が分散し何か問題が起きたときに、たらい回しになることがあった。しかし、責任をハッキリさせたことで真っ正面から対応するようになり、劇的にバグの数が減るなどの効果がありました。

技術文書についても責任が明確ではなかった。そこで、やはりチーフ・クオリティ・オフィサーが全体の責任を負って優先順位などを決める形にした。機械翻訳ではぎこちないので人間の手で翻訳する必要がある。そうすると、かなりの予算が必要です。今2009年6月期は1億5000万円の予算をつけました。

「ライセンスの仕組みがわかりにくい」というクレームを減らすには、できるだけわかりやすい説明資料をつくる、というのが第一の対策です。もう一つ、コールセンターの規模を4月から1・5倍に拡大し、問い合わせにしっかり答えられる体制にしました。

--顧客サポートを強化する一方で削減した予算項目もあります。

イベントの見直しを行いました。本当に重要なお客さんを呼べているのかどうか、という視点から見直しました。たとえば、これまで徳島の阿波踊りにお客さんをお招きしていた。しかし、来ている方々は、毎年、固定化しており、お盆の時期に本当にVIPが来ているのか、という点でも見直す必要があると考えました。

--イベントを減らすだけで、必要な予算を捻出できますか。

翻訳だけで1億5000万円ですから、イベントを見直しただけではなかなか出ません。が、トータルの枠の中で予算を立てることができた。今年1年で技術文書を1万ページほど翻訳します。この1年で必要な文書がかなりそろいます。

--予算削減ということでは、分散している東京の本社拠点を集約すればよいように思います。

現在、5カ所に分かれていますので、確かに集約させないと効率が悪い。集約を考えていることは、社員総会で全社員に伝えています。でも都心部の交通の便がいいところを考えているので、なかなかいい物件が見つからないですね。

少なくとも2カ所に集約したい。企業向けと個人向けの両方のビジネスをやっていますので、二つに分かれたほうがいいかなと思っています。でも、今からプランを立てても、実際に引っ越すのは、2011年、あるいは12年です。先の話です。

--過去数年で支店数を増やし、現在では9カ所にあります。多すぎるのでは。

全部必要だから、つくった拠点です。しかし、これ以上増やす予定はありません。今ある9支店で終わりです。

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