「阪急うめだ本店」なぜ婦人服が絶好調なのか 広域から顧客を呼び、足元の売上高は2割増

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阪急うめだ本店3階の「D.エディット」。パリやロンドン、NYを中心とした海外の流行の最先端を取り入れ、個性的なセレクトショップとして展開している(記者撮影)

売り場の鮮度にもこだわる。7月に4階を訪ねると、ちょうどその時期に着るのにぴったりな盛夏物だけでなく、晩夏や秋物も同時展開していた。季節を細分化して提案することで、お客がいつ訪ねても新鮮味を感じられるようにしている。

また、アパレル大手・ワールドの「アンタイトル」やオンワードホールディングス傘下のオンワード樫山の「23区」など、これまで独立型ショップの多かったブランドを1カ所に集め、比較購買できるようになったことも大きい。

「服の好みに年齢は関係ない」

たとえばトップスはアンタイトル、ボトムスは23区など、お客は自分の好みに合わせて服を選べる。

通常、百貨店の婦人服売り場では、アパレルメーカーから派遣された店員が接客するが、阪急うめだ本店の売り場には阪急百貨店の従業員もスタイリング販売員として常駐する。そして、1人ひとりのお客に対し、ブランドの垣根を越えて着回しコーディネートを提案する。アパレルメーカー側も、阪急の取り組みに理解を示しているという。

佐藤本店長は「服の好みに年齢は関係ない」と言い切る。これまで婦人服売り場は、顧客の年齢と商品の価格帯で分類していた。しかし改装によって、主に商品の嗜好性を軸に売り場を再編成した。それにより「20代から60代まで年齢を問わずお客様が来店するようになった」(佐藤本店長)。

アパレル不況の中、気を吐く阪急うめだ本店。訪日客に支えられている点はあるとはいえ、不況脱却の一つのヒントになりそうだ。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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