外国人患者が来院した時にどう対処すべきか 文化の違いを知らなければ混乱必至?
観光庁が13年度に実施した調査では、訪日外国人の約3割が旅行保険に未加入だった。受診した際に保険に加入しているかの確認を徹底したり、パスポートやクレジットカードの提示を求めたりすることなどにより、ある程度の未収金の発生は防げるとみられている。
岡村准教授は、「訪日外国人が医療機関を受診すると未収金が増えるなどと、不安をあおる風潮もありますが、明確なデータはありません。未収金を心配する以前に、文化の違いを知るなどやるべきことはたくさんあって、それにより避けられるトラブルはあります」と強調する。最も深刻なのは突然、どこの国なのかが分からない外国人が受診してきたことで通常の診療が滞り、地域の患者に悪影響が出てくることだ。
医療現場では危機感強まる
東京都が昨年2月から3月にかけて実施した調査によると、都内の全病院646病院に尋ねたところ、315病院が回答し、75%は外国人の受け入れ実績があり、多言語対応の整備状況は「整備済み」が27%だった一方、「今後、整備する予定」が10%、「整備する予定がない」が62%だった。必要と考える対策については、▽医療通訳の確保▽未収金対応▽問診票や院内表示の多言語化▽会話集や説明資料の作成▽異文化理解促進研修▽通訳アプリなどの導入――などだった。
都は、年々増加する訪都外国人への対応策も打ち出している。医療機関案内サービスのウェブサイト「ひまわり」を今年度中に、これまでの英語のほか、中国語と韓国語での対応に拡大。スマートフォンやタブレットにも表示しやすくする。